ネブライザー詳説

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 さて。

 またしても、久々の更新となるのだが。

 もういい加減、アタゴロウのネブライザーのことを書いておかなければならないだろう。

 アタゴロウの喘息自体は、今に始まった話ではない。そろそろ二、三年経つかな、などと軽く考えつつ、だが自分のブログを調べてみて驚いた。「喘息」の診断が下りたのは、何と、二〇一四年の話であった。奴の喘息歴もなかなかのものなのである。

 ただし、症状としては、幸いそれほど重いものではない。一度治療を行えば、しばらくは全く何の症状もない調子の良い時期が続く。その後、徐々に、時折咳をするようになり、それが毎日続くようになってくると、次の治療の時期である。

 周期は、季節にもよるが、長ければ二~三ヶ月。短いと一ヶ月余り。

 当初は投薬だった。錠剤を二種類。消炎剤と気管支拡張剤である。一週間くらい飲ませていただろうか。薬を飲ませると、劇的に効く。咳がぴたりと治まる。

 この繰り返しが何年も続いていたのだが、昨年頃から、周期が短くなってきた。薬を飲ませていったん咳が止まっても、一ヶ月もしないうちに次の咳が始まる。あるいは、薬を飲ませ終わった直後から、毎日ではないものの、たまにコホコホやっているようなアヤしい状態が続く。

 薬が効かなくなってきたのか――。

 昨年の十一月頃だったと思う。この頃、薬の効きが悪くなってきたような気がする、と、ミツコ先生に話したところ、

「やっぱり、ネブライザーをやった方がいいと思うな。」

という返事が返ってきた。

「え、でも、ネブライザーって、素人はあまりやらない方が良いんじゃないんですか?」

 私がこう聞き返したのには、理由がある。

 その数ヶ月前、薬を貰いにいった際に、やはりネブライザーの話になり、その時、先生は、

ネブライザーって手もあるんですけど、家でやるのは結構大変なんですよね。どこかに水分が残ってカビが出ちゃうと、胞子を吸いこんで、余計に悪化しますから。」

 と、かなり後ろ向きな意見を述べていたのだ。

 私はズボラな性格だから、衛生管理であるとか、そういった話になると全く自信がない。ぜったい、自分はカビさせる、とその場で確信した。

「あとは、ここに連れてきてもらうか。」

「毎日ですか?」

「まあ、そうですね。」

「うーん、それはさすがにキツい。」

 この時点で、私の中でネブライザーという選択肢は、完全に消えていたのだ。

 だが。

 先生が突然宗旨替えをしたのには、理由があった。

 動物病院の助手さんが、自ら機器を購入し、自分の猫に治療を始めていたのだ。

 もちろん、彼女は私と違ってプロである。とはいえ、その自宅治療の様子を聞くうちに、どうやら先生も、これなら(私のような)素人でもいけそうだ、という感触を得たらしい。

「今どきは、ネブライザーの機械も、ネットで一万五千円くらいで買えるし。」

などという具体的な発言も、多分、その助手さん情報によるものであろう。 

 とはいえ、やはり乾燥させることは重要で、ぜったいにカビを発生させてはいけない、という点は念を押された。

 私の側はまだ不安が残っていたのだが、先生も助手さんも、あたかも

「大丈夫、大丈夫。いけるいける。」

とでも言いたげで、気軽に背中を押してくる感がある。

(まあ、一万五千円くらいなら、買えるかな。)

 いずれにしても、そろそろ、投薬の先の段階に進まなければならない時期なのだ。機器の手入れは大変かもしれないけど、毎日猫を病院に連れてくる労力よりは楽だろう、と、期待半分、諦め半分といった気持ちで、ネブライザーにチャレンジすることにした次第である。

 

 

 そして帰宅後。

 早速インターネットで「ネブライザー」を検索してみたのだが。

 まず、ネブライザーの機械には、二種類あることが分かった。

 コンプレッサー式と、超音波式である。

 先生が「一万五千円くらい」と言ったのは、コンプレッサー式の方だった。超音波式はもっと高価で、その倍くらいする。

 で。

 どう違うのかと言えば。

 専門的なことはよく分からないが、要するに、コンプレッサー式はそれなりに動作音が発生するが、超音波式は静かだということだった。

(音か…。)

 それは考えてみなかったな。

 私はマンション住まいである。しかも、いつもではないが、帰宅が遅く、だいたいにおいて夜更かしである。深夜に至ってから、さてネブライザーやるぜ、というようなことも、かなりの頻度で起こり得るのではないか。

 音といっても、どの程度の騒音なのか。家電製品を買う時はいつもそうなのだが、色々説明してもらっても、結局、音の感覚というのは良く分からない。

(やっぱり、静かなのに越したことはないな。)

 というわけで、アタゴロウくんには、高価な超音波式ネブライザーが買い与えられることになった。

 製品はこれ。興伸工業社製の「コンフォートオアシス」である。

 

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 後日、動物病院で病院のネブライザーを見せてもらったところ、全く同じ製品(多分)であった。どうやら、分不相応に良いものを買ってしまったらしい。

 して、問題の動作音であるが。

 予想以上に、もの凄く静かであった。作動中に聞こえるのは、薬剤のコポコポ言う音と、ゼンマイ式タイマーの「ジジジジジ」という音くらい。機械そのものの動作音はほとんどしない。

 ただし。

「夜中にも安心なようにと思って、奮発して、高いけど静かな機械を買ったんだけどねえ。」

 後日、職場の人に、問わず語りに報告する私。

「機械は静かなんだけど、猫が鳴きっぱなしでうるさいという…。」

 頑張ってはみたものの、騒音問題に関して言えば、結局、身内に伏兵がいたというオチであった。

 

 

 ネブライザー実施にあたって、もう一つ問題になったのが、「猫をどこに収納するか」である。

 以前、動物病院で玉音がネブライザー治療を受けた際に、「人間のように口や鼻から吸わせることができないので、ケージに閉じ込めて、その中に蒸気を充満する」という方法だと聞いたことがあった。

 となると、ネブライザーの機械そのものは人間用で事足りるが、猫の場合は、それに加えて、治療空間を作らなければならないことになる。

 動物病院では、

「ケージとかキャリーに閉じ込めて、ゴミ袋をかぶせればいいのよ。」

と教えてもらっていたが、いちいちゴミ袋をかぶせるのでは、ちょっと面倒臭い気がする。だいいち、我が家はいつも大してゴミが出ないので、そんな大きなゴミ袋は購入したことすらないのだ。

 どうせ今後ずっと続くなら、多少お金がかかっても、お手入れ簡単で、猫にとっても居心地のいい専用空間を用意した方がいいんじゃないかな。

 最初はケージを使おうと思った。折しも、ダメちゃんの酸素室問題が持ち上がっていた頃であったので、酸素室と兼用にすればいいのではないかと考えた。

 が。

 すぐに兼用は無理だということが分かった。酸素室に使う場合は、中にクッションを敷いて座り心地よくする必要があるが、それをネブライザーに使うと布類はびしょびしょになってしまう。だいいち、ケージを全て目貼りするのはかなり大変だ。

 例によってインターネットで調べてみると、「衣裳ケースに穴を開けてホースを取りつけられるようにする」という方法が、様々なサイトで紹介されていた。

 なるほど。これは便利そうだ。手入れも簡単だし。

 じゃあ一丁、衣裳ケースを仕入れてくるかな。

 と、いう計画を友人さくらに話したところ、まるで私が「会社を辞めてユーチューバーになる」とでも言ったかのように、全身全霊で猛反対された。

「やめなさい。ぜったい無理だから。」

「何で? 穴開けるだけでしょ。」

「あのね、衣裳ケースは固いの。いくらやってもぜんぜん切れなくて、しまいには手が痛くなって泣きそうになるわよ。それでも穴なんか開かないんだから。」

 詳しい話は忘れたが、さくらは何かの折に、やはり衣裳ケースの改造を試みたらしい。その顛末はともかく、言われてみれば、同じプラズチックでも衣裳ケースは、積み重ねることを想定してであろう、実に頑丈に出来ている。そういえば、ネットで見た衣裳ケースの加工手順の中にも、「熱したドライバーをまず突き刺して…」というような、なかなか大掛かりな穿孔方法が紹介されていた。単に、切り口を鋭利にせずに、綺麗に丸く切り取るための方法だろうと思っていたのだが、そうでもしないと、女子供には穴なんか開けられやしないということだったのだろうか。

「猫トイレがいいわよ。私の友達はフード付きの猫トイレに目貼りして使ってるけど、猫の出し入れが簡単ですごく便利だって。トイレにしなさいよ。」

「トイレねえ。」

 みんな、いろいろ考えてるんだな。

 でも、猫トイレは目貼りが面倒くさそうだ。イマイチ気が乗らない。

 そうこうしているうちに、考えるのが面倒になり、とりあえず、動物病院で勧められたとおり、手持ちの箱型キャリーにゴミ袋をかぶせてやってみることにした。

 

 

 次。薬剤の話。

 もちろん、薬剤は病院で処方してもらう。

 最初にネブライザー薬を貰いにいったとき、

「生理食塩水はある?」

「いや、ないです。」

「じゃあ、今回はお分けしましょう。」

 というわけで、初回は食塩水付きでワンセットいただいてきた。

 私は全く無知であったのだが、ネブライザーを行う際には、薬剤を生理食塩水に溶かして、それを霧化するのである。考えれば当たり前のことなのだが、それがただの水ではなく、生理食塩水なのだということは、初めて知った。

 一回あたりに使用する生理食塩水は二十ミリリットル。それに、薬剤を三種類入れる。もっとも、このうち二種類は、目薬みたいな個包装を自分で破って投入するのだが、もう一種類は先生に作ってもらっているので、実際には三種類“以上”なのかもしれない。

 ちなみに、先生が調合してくれる薬剤は、

「アンプルなんで、慣れない人は開ける時に手を切っちゃいますから。」

というわけで、薬を貰いに行くとその都度、先生がアンプルのガラスをプチっと切るところを拝見するわけだが、この手際と音が、なかなか鑑賞していて小気味よい。お医者さんってカッコいいな、と思う瞬間でもある。

 これらを遮光の袋に入れてもらい、冷蔵庫に保存して、都合四日で使い切るわけだが、問題は生理食塩水の方である。

 それって、どこで買うの?薬局?

 そして、一体いくらくらいするものなのかな?

「まともに薬局で買うと高いわよ。本当はそんなに高いものじゃないのに。」

と、先生はおっしゃって、おもむろに診察室のPCで検索を始める。このへんが町医者のいいところで、妙に庶民的なのである。

 いやいや、自分で調べますからいいですよ、と、言おうと思ったところで。

「そうか…。コンタクト用ね。その手があったか。」

 先生がつぶやいた。

「あ、なるほど。それならそのへんのドラッグストアにもありそうですね。」

 家に帰ってから自分でもネット検索したところ、コンタクト用の生理食塩水なら、五百ミリリットル入りが数百円の世界であった。

 そのまま購入してしまおうかとも思ったが、思い直し、念のため後日、近所のドラッグストアに行ってみると。

 何と。

 そのドラッグストアチェーンのPB製品なら、五百ミリリットル入りが、百円ちょっとで買えたのである。ネットで調べておいた医療用のものと成分(濃度)は全く同じ。拍子抜けした。

 それでも、あのとき先生が「コンタクト用でもOK」を言ってくれていなかったら、躊躇して買えなかったと思う。先生、ありがとう、である。

 

 

 こうして準備が整ったところで、いざ実践、となるわけだが。

「機械の目盛はどのへんに合わせたらいいんですか?」

 この問いには、明確に答えてもらえなかった。

「要するに、出力を上げれば早く終わっちゃうし、低くすれば時間がかかるってだけですから。」

 ま、そりゃそうだ。

 後は、猫と人間の都合に合わせて調整、ということか。

 そんな事情もあり、しばらくは施行錯誤の状態が続いた。ホースの位置が悪くて、終わってみたらキャリーケースの外側にばかりたくさん水が溜まっていたり、出力が低すぎて時間がかかり過ぎたり。いちばんの失敗は、作用水(薬液カップの下に入れる、超音波をカップに伝える水。これはただの水道水)を入れ忘れたために、出力を最大に上げても全く薬液が減らない!(当たり前だ)という事件である。このとき、アタゴロウくんは、結局、小一時間キャリーに閉じ込められていたわけで、実に可哀想なことをしてしまった。

 ともあれ、何だかんだで回数を重ねるうち、私の方もだんだんと要領を覚えてきた。実は先々週末、木曜から日曜までの四日間が今回のネブライザー治療期間であったわけなのだが、今クールは毎回、狙いどおりに各回およそ十五分で、一度も失敗なく終わらせたものである。ホースの位置もバッチリ。慣れないうちは、ホースが動かないように手で押さえ続けていたりしたものだが、そこはもう、固定したホースが何かのはずみで外れないように見張っているだけで、人間は横でお茶を飲みながら、古紙の整理なんぞもしちゃっていたという余裕ぶり。我ながら手慣れたものである。(自慢)

 

 

 以下。写真を撮ってみた。

 まずは、ネブライザー本体。

 

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 アタゴロウを入れるキャリーケースに、ゴミ袋をかぶせたところ。

 ちなみに、ゴミ袋は四十五リットルである。底の部分にを一部、ハサミで切り込みを入れ、空気穴を作ってある。

 

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 ホースを差し込み、口を太輪ゴムで留めたところ。

 実はここが職人技。写真では見づらいが、キャリーケースの入口(扉部分)は、下から三分の一くらいまでの部分に、横長のスリットが数本入っている。この通気口にホースを合わせ、ズレないように、ゴミ袋の引っ張り具合とホースの角度を調整して、輪ゴムで固定するのである。

 ついでに言うと、ホースの吹き出し口が下向きになると、せっかく霧化した薬液が、液体に戻って滴り落ちてしまう。このため、吹き出し口が水平になり、かつ、ケースの扉のスリットに密着するように固定する。

 

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 全体像はこんな感じ。

 微妙に貧乏くさい感があるのは気にしない。

 

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 実際のところ、これで慣れたからというのもあるのだが、この方法は結構便利であった。

 まず、ゴミ袋はゴミ袋らしくディスポーザルであるし、このキャリーケースは、上部がパッカリ開いて、前の扉からも出入りができるので、猫の出し入れにたいへん便利である。

 つまり、入れる時はパッカリ開いた天面から入れ、出る時は、ゴミ袋の口を捲って扉を開いてやればいいのである。なお、猫を出す時であるが、出てきた猫は、逃げ去る前に捕獲して体を拭いてやらなければならない。(被毛が薬剤の霧で濡れているため。)このため、狭い扉から出てきてくれると、出口でがっちり首根っこを押さえられるので、後の作業が格段に楽になるのだ。

 そして、オールプラスチックであまり凹凸のないキャリーケースは、最後に水拭きをするにも、思いのほか楽チンなのであった。

 

 

 水拭きの話が出たところで、片付けのことも書いておく。

 私の個人的な意見ではあるが、ネブライザーを行うのに、いちばん大変なのは「片付け」である。(我が家の場合である。その家により「猫の捕獲」という場合もあり得ると思う。)

 何しろ、例のカビの恐怖があるので、絶対にサボれない。

 我が家の場合は、噴霧が終わると、まず本体のスイッチを切って輪ゴムを外し、上述の要領で猫を取り出して、固く絞った濡れタオルで拭く。猫が走り去ったところで、ゴミ袋を外して水気を切り、裏返して適当なところで干す。

 次に、ホースを洗う。

 続いて、本体から薬液カップとカバーを外し、作用水を捨て、キッチンペーパーで本体内の水気を拭きとる。それから、細かい部品を水洗いし、これもキッチンペーパーで拭いて、干す。

 猫を拭いたタオルを洗い、キャリーケースを水拭きする。

 そして最後に、ホースの内側を、ドライヤーで乾かす。

 ドライヤーについては、自分で勝手に始めたことで、動物病院でその話をしたら、

「あんまり熱を加えるのもねえ。」

と、言われたのだが、そこは気を付けていて、手で触れる程度の温度で止めている。もともと煮沸消毒のできる素材なので、熱で変性するようなことにはならないだろう。余計な手間なのかもしれないが、ただぶら下げて滴が落ちるのを待っていたのでは、半日で乾燥は期待できないのではないかと思う。

 世の中に、人間にであれペットにであれ、家でネブライザー治療を行っている人などゴマンといるのであるから、私ごときが「大変だ、大変だ」と、大騒ぎするのは如何なものかとは思う。だが、私のような怠け者にとっては、この片付け作業は、けっこうな労働だというのが本音だ。

 そりゃ、猫だって辛いだろうさ。

 でも、私だって楽してやってるわけじゃない。そこはアタゴロウくんにも理解していただきたいところである。

 

 

 私のネブライザー実施報告は以上なのであるが、おそらく、これを読んで下さった方の大半は、

「で、肝心のアタゴロウくんの反応はどうなのよ?」

という疑問をお持ちのことであろう。

 結論から言えば。

 どうやら、諦めの境地、といったところらしい。

 最初は、何がなんだか分からないうちに捕獲されていた。それがやがて、例の猫の余計な学習能力により、私が

(さて…)

と、彼を見た瞬間に一目散に逃げるようになり、やがて、ゴミ袋のガサガサという音を聞いただけで、姿をくらますようになった。

 しかし、逃げるといっても、そこが猫の本能の哀しさで、必死に逃げ回っていても、最終的には、ついつい押入れに逃げ込んでしまう。そうなれば、私の思うつぼである。追い詰めておいて、首根っこを掴んで引きずり出す。玉音ちゃんで学んだ必勝法である。

 これで、逃げられないと観念したものなのか。

 前クールの後半くらいから、逃げ始めても途中で諦めるようになった。今クールに至っては、後半戦は、最初から逃げようとさえしていない。

 大人しく首を掴まれ、いや、首を掴まなくても黙って抱き上げられ、キャリーケースの中に落とされる。そして、ケースに座り込んだ瞬間に、ちょっと顔を上げて私を見る。

 何とも言えない、暗い目をして。

 哀しい、でもない、恨みがましい、でもない。いわんや、怒りなどでは、決してない。

 ひたすら暗い目をするのである。

 ケースを閉めて、噴霧が始まると、鳴き始める。これはちょっとドキドキする。鳴くこと自体は、薬液の霧をしっかり吸い込むことができてよろしいのではないかと思うのだが、中が見えないので、何か異常があって訴えていたとしても分からないのではないか、という怖さは感じる。なので、鳴き方に変化はないかは、気を付けて聞くようにしている。

 噴霧が終わると、出口でとっ捕まえて体を拭くことになるのだが、これについては、どうやら、拭かれること自体は気持ちがいいと気付いたらしい。出口で自ら立ち止まり、私が抱き上げると、拭いている間は大人しく体を預けている。

 そもそも、体をしっかり「水拭き」することにしたのは、終了後に彼がせっせとグルーミングしているのを見て、薬液を舐め取ってしまうのではないかと心配したからなのだが、お陰様で、この頃は、終了後は何事もなかったようにケロリとしている。特に体を舐めている様子もないし、薬剤臭いということもないから、やはり水拭きは正解だったのだろう。彼自身も、乾いたタオルで拭いていた時よりも、何となく気持ち良さそうに見える。

 

 

 と、いうわけで。

 これで本当に終わり、のつもりなのだが。

 さらに気になる方がいるかもしれないので、一応、最後に書いておく。

 

 

 その間、アタゴロウ夫人はどうしているか。

 ハイ。終始、無関心にござりまする。昔も今も。

 

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