オンナはいつも待ってろなんて…

 

 
 
 我が家の天井に、再びクモさん出現。
 
 
 何で気が付いたかって、そりゃあもちろん、ヨメが騒いだから。
 キャットタワーのてっぺんに陣取って、静かに騒ぐ。
 その鳴き方は、他に表現のしようがない。
 正に、恨み節ってやつである。
 
 
 実は、この話は、ジャスト1週間前の出来事である。
 私は、コミティアにいく前に、朝食を食べていた。
 ヨメの恨み節を聞いて、面白がって写真を撮りながら、食事をしていた次第。
 
 

  
  
 クモさんは、もとから、ヨメの手の届くところにはいなかったらしい。
 しかし。
 猫はそもそも、待ち伏せ型の狩りをする動物である。従って、ヨメも、クモさんがうっかりと近寄ってくることを期待して、キャットタワーの頂上で、張込みをしていたらしい。
 が。
 例によって、クモさんは、どんどんヨメから離れていく。
 身を乗り出してクモさんを見送るヨメが、可笑しくも愛らしい。
  
  

 

 

  
  
 この真剣な眼差しを見よ。
 
 

  
  
 そして。
 クモさんはついに、反対側の角まで到達してしまった。
 
 

  
  
 それでも、ヨメは待ち続けている。
 察するに、クモさんが、壁に沿って直角に角を曲がったからであろう。
 
 

  
 
 いやあ、どうだろうね。
 少なくとも、相当時間がかかることだろうと思うよ。
 
 
 結局、ヨメが諦めてキャットタワーから降りて来たのは、その後、さらに時間が経ってから。
 クモさんが次の角までの道のりを、およそ半分、進んでからであった。
 
 
 ジェフリー・アーチャーの「試行錯誤」という短編の中に、張込みをする二人の元警察官が、主人公にその経験を語る場面がある。
「わたしが一睡もせずに張込みをした最長記録は四十九時間です。きみはどうだ?ジェニー?」
「三十一時間です。」
 猫は、一年に、人間に換算しておよそ4歳分、歳をとるという。
 ヨメがクモさんを張込んだ時間は、まあ30分くらいであったろうか。長いようだが、人間時間に換算すると、4倍しておよそ2時間ということになる。
 なあんだ。
 キミ、そんなことでは、優秀な刑事にはなれないよ。
 彼女に、ドナルドとは言わないまでも、ジェニーくらいの根性があれば、天井を一周したクモさんに、再び巡り逢えたかもしれない。
 
 
 ところで、お約束の質問。
 その間、彼女の夫は、何をしていたか。
 
 

 
 
 お約束どおり。
 労働(狩り)は妻に任せて、自分は堂々とサボっている。
 髪結いの亭主である。
 
 
 
 
  
 ちなみに、ライオンの雄が狩りに参加しない理由は、①たてがみが重くて邪魔だから、②狩りの途中で興奮するから(ライオンは集団でそっと取り囲む作戦をとるので、途中で騒ぐヤツは邪魔だ、ということらしい)、なのだそうだ。
 つまり、見かけ倒しで、役に立たないってことじゃん。
 
 
 どこかで聞いたような話。
 ボーヤ、一体、何を教わってきたの!?