今年の初宅急便。
新年、最初のお届け物は何かというと…
これ。
猫砂である。
新年最初のお届け物が猫砂というのも色気のない話だが、それより、何となく、
お正月早々、こんなものでお手を煩わせてスミマセンと、宅急便屋さんに申し訳ない気持ちになったりして。
猫砂の嗜好は完全に分かれるものらしく、周囲の猫飼いさんたちに尋ねると、面白いように、全員違う答えが返ってくる。
で。
私は木砂派である。
消臭効果が高く、しかもそれが素材の特性であって、薬剤によるものでないところが気に入っている。また、これは本当に個人的な感覚だが、床に散らばったときの不快感が少ない。鉱物系の砂のように、床にへばりついてしまうことがないのも好き。
ただし、おがくず(粉)が多量に出るし、崩れないタイプは軽いので飛び散りやすいという欠点はある。一長一短、嫌いな人は嫌いだろう。
私が実家を出てはじめて自分で猫を飼い始めた頃は、システムトイレの黎明期であった。その時点では、私は最先端を走っていた(と、思う。)
特に、メーカー指定の撥水性の砂を使わず、崩れるタイプの木製ペレットを使うというのは、私がネットであれこれ検索した結果、辿り着いたワザで、最先端のその先の最新鋭であったのではないか。
ペレットも、当時は確か、私が使っていたパインウッドと、あともう一種類くらいしか販売されていなかった記憶がある。
もっとも、現在、私が使っているペレットは、もともと燃料用に開発されたものを猫砂に流用したものである。いわば業務用なのだろうか。約三十リットルがお米の袋に入ってどんと届く。そして、安い。
多分、この手のペレットは、本当は当時からあったのではないか。ただそれが猫砂として使えることは、世間的に認識されていなかったのだと思う。
と言っても、今日届いた砂は、システムトイレ用のペレットではない。
固まる木の砂である。
袋の中は、こんな感じ。(写真は使いかけの袋)
我が家には一つだけ、システムトイレでない猫トイレがある。
栗助がトイレでおしっこをしなくなったとき、ペレット使用のトイレが嫌いなのかもと考え、猫カフェで使っていたのと同じ鉱物砂のトイレを投入した。だが、どうやらそういうわけでもかったらしい。
作戦は失敗だったが、システムトイレではない猫トイレは残った。
猫トイレと言っても、本当は衣装ケースである。「トイレが大柄な彼には小さすぎる」説もあり、敢えて衣装ケースを投入した。
ともあれ、そのトイレ(衣装ケース)を活用するために、「崩れる」ではなく「固まる」砂が必要になった。先述したとおり、私は木砂派である。鉱物砂にこだわらないなら、やはり木がいい。混ぜ物なしで気持ちよく固まる木砂を探し、最終的にこの砂に辿り着いたのである。
現在、我が家には猫トイレが四台ある。
中型のシステムトイレが、洗面所に二台。
大型のシステムトイレと、衣装ケーストイレがリビングにある。
大型のトイレを用意した理由は、先述のとおり、大柄な栗助が通常サイズのトイレを手狭に感じている疑いがあったからである。
その大きなトイレを、なぜ敢えてリビングに置くのか。理由は単純だ。大きすぎて、リビングにしか置けないのである。
私は、リビングには猫トイレを置かない派だったのだが、その理想は儚く潰えた。
そして、やはりリビングにある方が便利と見えて、猫どもはほとんどリビングにある二台を使っている。特に、大の方は、必ずリビングでする。
それもね。
私が食事を始めようとすると、誰かがするんだよ。
このため、私はダイニングテーブルの位置を変えた。
ついでに言うと、床の上の座布団に座ってお茶を飲むことも、ほとんどしなくなった。自分の鼻の位置が低いと、普段感じないほのかな芳しさを、お茶の香りと共に感じ取ってしまうのである。
そのリビングのトイレ配置。
ケージの中が、衣装ケーストイレ。
白いハーフカバーが付いているのが、大型システムトイレ。
なお、隣接したトイレ間は、自由に行き来できる。強いて言えばハーフカバーの「壁」があるが、何しろ奴らは猫なので、全く問題にならない。
で。
気が付いたと思うが、システムトイレの前に、やたらとペットシーツが敷いてある理由。ちなみにその下は、犬用のトイレマットであるが。
栗助くんのためですよ。
彼がそこに座って、本来、中でなすべきことをするのである。
そう。つまり。
何気なく掲示したが、この写真には、物凄い皮肉が込められているのだ。
大きなシステムトイレを購入したのは、栗助くんのため。
システムトイレでない、普通の砂トイレを用意したのも、栗助くんのため。
だが、彼はそれらに見向きもせず、その前のペットシーツで用を足している。
そしてその彼の冬の定位置は、トイレ上空のケージの屋上である。
彼は、床に投げ出した私の足が好き。
だが、その彼の所業のおかげで、私は床に座らなくなったのだ。
…出てきたのは櫛が一揃い――デラが長いあいだブロードウェイのショーウィンドーで憧れていた横櫛と後櫛の一揃いだった。ふちに宝石をちりばめた正真正銘の鼈甲製の美しい櫛であり――いまはなき彼女の美しい髪にさすには、もってこいの色あいだった。とびきり高価なものであることがわかっていたし、単に熱望するだけで、自分のものになろうなどとは夢にも思わずに、あこがれていた櫛だった。いまそれがデラのものになったのだ。ところが、そのあこがれの装飾品を飾るべき髪は、いまはもうないのである。
でも、彼女はそれをひしと胸に抱きしめ、やっと、うるんだ目をあげてほほえみながらいうことができた。「あたしの髪は、とても早くのびるのよ、ジム」
(O・ヘンリ「賢者の贈りもの」より)
残念ながら、栗助の短毛が長毛にのびる見込みがないのと同じくらい、我が家のリビングから猫トイレが退場する見込みは、少なくとも現時点では、ない。
トイレ関係の写真ばかりになってしまったので、今日撮った猫たちの写真を。