サバンナから来た男

 

(※Cats安暖邸さんのブログからお借りした写真です。)
 
   
「Cats安暖邸」にお邪魔した。
 4か月ぶりくらいになるだろうか。
 前回に比べ、大きい猫が多いな、という印象を受けたのだが、聞けば、昨日、成猫が9匹到着したとのこと。もちろん、その9匹全部がお部屋に出てきているわけではないのだが、そもそも、そんなに多くのオトナの猫がデビューする理由というのが、「仔猫たちが卒業して寂しくなってしまうから」だというから、成猫率がぐっと上がるわけだ。時期的な問題で、仔猫はワンサカいるのだが、まだ小さすぎて出せない(ワクチン未接種)、ということらしい。
 その成猫9匹の中に、「彼」はいた。
 以前、Yuuさんのブログでお目にかかった。個性的な大猫の「ロトくん」である。
 
 
 昨日、山梨から着いたばかり。
 ということは、今日がデビューの日。
 の、わりに、彼は平気でお部屋の中を闊歩していた。
 そう、カッポしていたのである。
 彼の記事がYuuさんのブログに載ったのは、もう何年か前のことだと思うが、あまりに面白かったので印象に残っている。内容は確か、彼が走ると、パカパカと馬が走るような音がする、という、猫にはあまり聞かない話だった。
 ついでに、彼は容姿にも、馬を彷彿とさせるものがあったりする。
 
 
 ロトくんは、大きい。
 体重は6.5kgくらいというから、ダメと同じくらいなのだが、ダメは太っているけれどロトくんは標準体型である。ということは、骨格的には、ロトくんの方が少し大きいのかもしれない。
 何しろ、彼は、長いのだ。
 
 
 背中も、
 

 
  
 しっぽも、
 

 
  
 首も、
 

 
 
 そして、顔も。
 

 
 
 彼の風貌は馬的でもあるが、我々の一致した印象はむしろ、
「サバンナで狩りをしている感じ」
であった。
 あるいは、古代エジプトの神殿に奉られている感じ。
 彼は、目が合うと一直線に迫ってくる。
 さながら、ライオンかチータ
 狩られちゃいそうな感じ。
 
 
 が。
 
 
 そうではなくて、彼は一直線に甘えに来るのだった。
 
 
 
 
 
 彼は甘えん坊で、穏やかで、大変よい子なのである。
 甘える時も、しつこさや強引さはなく、大きな体で、ただ静かに寄り添ってくる。
 そう、見た目と性格とのギャップが、もの凄くツボな男子なのだ。
 
 
 そのうちに、友人の一人が、
「何だか、野武士っぽい。」
と、言いだした。
 わはははは。
 ぴったり。
「それがし粗忽者にて…とか言いそう。」
「朋輩に連れられて吉原に遊びに行っても、遊女さんにお酌されただけで『かたじけない』って、かしこまっちゃうタイプ。」
「『もっとお楽になさいませ』とか、言われちゃうんだよね。」
と、本猫の意向はよそに、人間どもの妄想は勝手に広がる。
「こういう猫が家にいたら、楽しいよね。」
 そう言ったのは私。
 この風貌と性格なら、ブログネタに困ることもあるまい。
 猫漫画、作りたい放題、という感じ。
「ブレイクしそう。」
 そうだね。ちょっと上手い人が書けば、間違いなく、ブログ本が出る猫だよね。
 
 
 そのうちに、我々の間にいつしか芽生えた別の感想。
「何だか、雰囲気がダメちゃんに似てる…。」
 とはいえ、個性的な風貌のロトくんとは対照的に、うちのダメちゃんは、正統派のキジトラ美形である。
 さながら、家柄と顔はいいけど、貧乏な上に剣術も苦手な、旗本の三男坊といったところか。
 ただし、こいつも、悪友に誘われ吉原に連れて来られたなら。
 若いオナゴと二人きりで、どう間を保たせたものか分からず、ひたすら酒を飲みながら相手の身の上話だか何だかをつい聞いてしまって、もともと酒が弱い上に泣き上戸なものだから、思わず同情してしまい、結局、ナニもせずに、かえってなけなしの一朱銀を置いて来てしまう、という展開であろう。
 野武士のロトくんと、結果的には、大して変わらない。
「ひょっとして、兄弟なんじゃないの、あんたたち。」
 でも、こいつらが本当に兄弟だったら、お母さんは何気に心配したんじゃないかな。
 この子たちには、ちゃんとお嫁さんが来るんだろうか、って。
 
 
 ダメちゃんのお母さん。
 大丈夫。彼にはフツツカながら、ヨメがいます。
 そして、ロトくん。
 キミは早く、良い婿入り先を探しなさいね。
 いや、個人的には、いつまでも安暖邸にいてほしい、というのが本音だけれど。
 
 

(Cats安暖邸の営業部長「チャー」くん)