私は今、絶望の淵にいる。
信じていた愛に裏切られたその心の傷は、たとえ一人語りにでも、言葉にせずにはいられない。それゆえ、事実はほんのささいな事件に過ぎないのだが(ええ、本当にささいなんですとも。)、こうしてブログを更新しておく。
ついでに、本文には別に関係ないのだが、私をこの苦しみに突き落としたその男は、今朝、私が忙しく出勤の準備をしているさ中に、風呂蓋の上で呑気にいびきをかいていたことをも、ここに付記しておく。
ことの発端は、今日の終業直前に遡る。
明日、天竜さんと二人、あまり気の進まない(婉曲表現)会議に行かされることになったのである。
本来出席するはずだった担当者が体調を崩したため、急遽、二人で代理を務めるように、との、奇襲攻撃を受けた。
何しろ、あまり気の進まない(婉曲表現)会議である。上司が必死で私たちを説得しているところに、ふいに、私の属するグループを統括している先輩が、厳しい表情でつかつかと歩み寄り、上司に向かって決然と言い放った。
「うちは明日、人が少ないんです。猫山ちゃんを出してしまうと、業務が回らなくなります。」
やたっ!!
ありがとう、先輩!!
「だから、応援をもらわないと…」
…あれ!?
き、救出してくれたんじゃ、なかったのか…。
と、まあ、そういうわけで、誰も私を助けてくれないことが判明し、結局、明日はその、あまり気の進まない(婉曲表現)会議に出席することが決定。超ブルーな精神状態で帰宅した私であった。
そして。
家に帰って、夕食後も、どんより状態の家主。
そもそも何で、アタシが行くんだよぉ。
私より経験豊富で業務に明るい人が、たくさんいるのに。
私なんか、いまだに分からないことだらけで、ミスばかり重ねていて、皆さんにご迷惑をおかけしているのに。
強いて言えば、年齢的なものか。(と、いうところで、さらに落ち込む。)
それってつまり、無駄にトシだけ喰ってるって、ことだよね。
もともと頭ワルイのに、このごろは記憶力も減退してモノも覚えられないし、大雑把な性格だから、緻密なことや正確性が求められることはできないし、書類の整理なんかも苦手だし…。
ああきっと。
もうじきに、「あの人、早く辞めないかしら」とか、陰で言われるようになるんだわ。
いや、もう言われてるかも。
「自分がお荷物だって気付いてないのかな。」「気付いてないからまだ居るんだろ。」とか。
ああああ。
ブルーな精神状態は、さらなるマイナス思考を生む。
どうせ私なんか。どうせ私なんか。どうせ私なんか。
どうせ私のことなんか、誰も愛していないんだぁ!!!(←?)
・・・ほぼ、どん底状態である。
すると。
悲しみのあまり、肉が喰いたくなってきた。(肉食獣か。)
先日、生協のカタログに出ていたローストビーフのブロック、注文しておけばよかったな。
一人では食べきれない、なんてこと、絶対になかった。
あれを丸かじりしたら、さぞ旨いだろうな。
いや、まてよ。
別に生協で頼まなくても、ローストビーフくらい、ちょっと品揃えの良いスーパーなら、普通に売っているんじゃないか。
この辺だと、どこにあるかな…
と、いうところで、我に返った。
やばいやばい。
早く浮上しなきゃ。
だが、もうすでに、自力で浮上する力は、私には残っていない。(肉なしには。)
そこで、はっと気が付いた。
そうか。
こういう時こそ、ダメちゃんに慰めてもらおう。
彼を目で探すと、ちょうどキャットタワーの中段に香箱を作っていたので、近寄って首のあたりを撫でながら、話しかけた。
「ねえ、ダメちゃん。ちょっと訊きたいことがあるんだけど。」
「・・・・・・!?」
ダメは箱を作ったまま、(また、何を言い出すんだ…)とでも言いたげに、怪訝そうに私の顔を見上げている。
「ね、ダメちゃん、アタシのこと、好き?」
断わっておくが、これから述べることは、事実である。
私がこの問いを発した途端、ダメの奴、それまで怪訝そうに私の顔を眺めていた目を上に向けて・・・
明らかに、あらぬ方を見たのである。
・・・えっ??
ええええっ!!!!
そりゃないよ、お前。
ああああ。
もう駄目だ。
立ち直れない。
と、いうわけで。
今、私は絶望の淵にいるのである。
いいですよ、どうせ私なんか。
飼い猫にさえ愛されない、ショボい女なんですよ、あたしゃ。フン。
ちなみに、ヨメであるが。
そのとき、ヨメがどうしていたかというと。
彼女はキャットタワーの最上段から、夫と姑のやりとりを、冷やかに見下ろしていたものである。
とりあえず、明日はスーパーに寄らないように気をつけなきゃ。
(愛のある生活)