2016-02-14から1日間の記事一覧

甲斐の国冬山奇譚

さむらいの世が終わり、東の都に帝がおわすころの話だという。 年の瀬も押し迫ったある冬の日のこと。一人の旅人が、甲斐の国の山の中、里に出る道が分からず行き暮れていた。 雪こそ降っていなかったものの、辺りは寒風が吹きすさび、短い冬の日はすでに傾…