一周忌

 ミミさんの祥月命日も、もう間近。
 というわけで、今日は、ミミさんを供養していただいたお寺に、お参りに行ってきた。


 私も自分の身に降りかかってくるまでは知らなかったのだが、ここは動物供養で古くから有名なお寺らしい。
 今日も御供養があったのだろうか。境内にはかなりの人がいた。
 一隅には、ペットの卒塔婆が、それこそ数限りなく納められている。
 一年前、私もミミさんの卒塔婆をここに立てたのだったが、今、この中からそれを見つけ出すことは、どう考えても不可能としか思えなかった。
 と言っても、見えるところにあった卒塔婆は、みなまだ綺麗だったから、それらは、お彼岸の合同供養の際などに皆さんが納めたものだったのだろうか。古いものは、どこか別の場所に納められているか、あるいは、もう煙になっているのかもしれない。
 このお寺では、一年間にどのくらいの動物たちを供養するのだろうか。
 ふと、そんなことを思った。
 御供養は確か一日おきだったと記憶しているが、私と母がミミさんの亡骸を抱いて参加したときも、その日だけで10組くらいのご家族がいたように思う。
 読経の際、きちんとミミの名前を呼んでもらえた。とてもありがたいと思った。自分自身は、信仰心のカケラも持ち合わせないくせに。


 ここのお寺には、猫がいる。
 納骨堂の入口付近に、りっぱなお家(ケージ)をもらって、普段は自由気ままに境内を闊歩している。
 動物の供養にくる人々が多いわけだから、虐められる心配もまずないし、構われるのが嫌になったら、隠れ場所には事欠かないのだから、きわめて恵まれた環境ではある。
 唯一、心配なのは、万が一境内から出てしまったときの交通事故と迷子なのだが…


(お寺の猫です)


 写真には小さくしか写っていないが、首輪に寺院の名を書いた札がつけてある。
 迷子札なのだろうが、立派な字体で寺院の名前が書いてあると、むしろお守り札のように見える。
 なるほど、これなら交通事故にも逢わないだろう、と、勝手に安心してしまった。


 うちの子たちの分も、作ってくれないかな。
 あ、でも、うちの連中、首輪してないや。