愛って何ですか。

 家主は、ここ2〜3日、早起きを試みている。
 きっかけは、このブログ。
 夕食後に書き始めると、どうしても眠くなってしまう。途中でつい、うたた寝をしてしまい、目が覚めると12時・1時。それから続きを書いて、お風呂に入ると、就寝が2時・3時、ということが頻発した。
 私はこう見えても勤め人である。これでは非常にまずい。
 そこで、「早起きして朝書く」という作戦に切り替えることにした。
 この作戦は、今のところ成功している。


 とはいえ、始める前には、少々不安に思うことがあった。
 私が早起きすると、猫どもが、その分、朝早くからメシコールを始めるのではないか。
 もとより6時前には起きていた生活なので、さらに早起きとなると、3時・4時の世界である。その時間から朝飯時まで、何時間も騒がれたのでは、ご近所迷惑になりかねない。
 それでも、朝飯の時間を繰り上げる気はない。夕食時間は変わらないからだ。
 結果的にいえば、この問題は、何とかなった。
 私が起きて動き始めた時には、猫どもも期待を抱いたようだが、今は諦めて静かになっている。
 外はまだ暗い。猫どもにとっては、今はまだ夜、ということだろうか。
 本当の闘いは、夏になり夜明けが早くなってからだ、と、今から気を引き締めておこう。
(それまで、私の早起きが続いていれば、だけど。)


 ところが。
 思ってもみなかった、別の問題が発生した。
 

 家主はもともと夜更かしな上、休前日は気が緩んで、さらに寝るのが遅くなりがちである。
 これまで、休日、家主が起きるのは10時・11時過ぎ。下手をすると、午前中いっぱい寝ていることもあった。
 猫どもはこれまでの経験から、家主が、自分が起きる気がない時は、どんなに騒いでも起きないということを知っている。
 このため、休日の午前中は、基本的に、空腹をかかえて家主に添い寝する習慣であった。
 必然的に、猫どもの朝飯は、ブランチかランチに変更される。
 もちろん、家主の朝飯もである。休日に関しては、人も猫も、一日二食と決まっていた。


 が。
 家主の早起きにより、休日の朝食時間は、平日と同等となった。
 となると。
 人も猫も、昼ごろにはお腹が空くのである。
 昼近くなって、ダメが騒ぎ始めた。
 もちろん、平日と同じなのだから、いつもならガマンしている話である。が、平日は、騒いでみたところで、そもそも賄い婦が不在なのだから致し方ない。
 しかし、今日は、賄い婦がちゃんとそこにいる。
 しかも、この賄い婦、自分はしっかり昼飯を食べているのだ。
 ダメは心をこめて哀願する。しかし、氷のような賄い婦の心は、彼の情熱を一顧だにすることなく、黙々と自分の昼飯を掻きこみ続ける。


 ダメちゃんは思う。
(さっきアナタは、ぼくの背中に顔をつけて、『ダメ大好き。愛してる』って、言ってくれたじゃないですか。
 それなのに、どうして…
 アイシテルって…アイシテルって…



※愛はごはんではありません。


 空腹は、人(と猫)の心に、Miseryの感情を引き起こす。
 愛に絶望したミザリー大治郎。破れかぶれになって、酒場…もとい、風呂場に雪崩れ込んで水をグビグビとあおり、勢いで妻に暴力を振るおうとして却って返り討ちに逢い、さらに破れかぶれになって、意味もなく部屋の中を走り回っておりましたとさ。


 そりゃあね。
 アタシだって揺れるのよ、そんなに我慢させていいものかって。
 でもね、少なくとも今は駄目。
 だって、キミの大騒ぎに根負けしてあげてしまうと、キミは一発で、「騒ぐともらえる」って、学習しちゃうでしょ。
(猫は学習能力が高いからね。)


 可哀想な大治郎くん。
 でもね、いつかきっと、キミにも分かる日が来る。
 私の愛の深さが。


 

 

 …いや、来ないな、永遠に。
 
 
 
 
 
 



※愛はちゅばちゅばではありません。