ナメんなよ
今日は実家のりりの話。
実家の許可はとっていないが、実家の人間は興味がないらしく、このブログを読まないので、まあいいだろう、ということで。
りりは「舐め猫」である。
とにかく、舐めて、舐めて、舐めまくる。
元旦に実家に帰った時、母の着ているセーターを見せられた。おなかの辺りに一部、色調が変わって「ぶち」になっている部分がある。
「りりにやられた」
というので、舐められてヨダレがついたのかな、と思ったら、そうではなく、りりに散々舐められた挙句、生地が薄くなって「透かし」ができてしまったのだった。
うちのヨメのちゅばちゅばと同じで、りりの場合、気分がゆったりして甘えたい気持ちの時に「舐め舐め」をするのであろうと思われる。母の膝の上は、まさにその環境だ。
そのほか、猫がよく座る座椅子にかけてあるカバーも薄くなっているというので確認した。一見したところでは、薄いかどうかは分からなかったが、かなり激しくケバ立っているところが何箇所かあった。
舐め猫、恐るべし。
見ていると、その舐め方が豪快である。
これでもかというほど舌を出し、かなり広い面積をセーターの表面にあてがう。それを思い切り舐め上げるのだが、ご存じのとおり、猫の舌はザラザラであるから、セーターなど毛糸の編み生地は特に、そのまま舌に引っかかってしまう。彼女はそれをものともせず、力づくで舐め上げるのである。
時々、生地そのものが引っ張られて、セーターの裾がわずかにずり上がることさえある。
早い話、生地の表面を無理やり引っ張って剥ぎ取っているようなものだ。
これを毎日やられたら、そりゃあ、穴ぐらい開くでしょう、と、見れば納得する。
実家の人間は、このりりの「舐め癖」については、既に諦めの境地に達していたのだが。
午後、暇でもあったし、母・姉・私の三人で、近所のショッピングモールへぶらぶらと買い物に出かけた。
雑貨屋で台所用品などをぼんやり物色していると、目に飛び込んできたのは、猫模様の「ルームウエア」。
模様も可愛かったが、形が目を引いた。写真を撮り忘れたのだが、要するに、背中まであるOAエプロンに、綿を入れたものだと考えてくれていい。
防寒用の室内着だとは思うのだが、特筆すべきは、生地がツルツルしていること。
しかも、猫柄。
姉と私は、一瞬にしてぱっとひらめいた。
これは、舐め猫対策に使えるかもしれない…。
さっそく、母に見せると、猫柄に惹かれた母は、即、お買い上げ。
意気揚々と、舐め猫の待つ家へ凱旋した。
果たして、新アイテムの効果は…
思った以上であった。
死せる諸葛、生ける仲達を走らす。
とは、ちと違うが、りりの奴、何を恐れているのか、何と、母の膝に乗らなくなったのである。
いや、乗るには乗るが、そわそわと落ち着かず、当然、舐め舐めもしない。
効果抜群。
だが、母にとっては、これは行き過ぎと感じられたらしい。
「何だか全然舐めないのよね。寂しいわ。」
おいおい、ちょっと待ってください、お母さん。
舐めないのなら、それに越したことはないのではないでしょうか?
と、いうあたりまでを目撃して、私は自宅に戻ったのであるが。
エピローグとして。
昨日、姉から写メが届いた。
引き伸ばしたのでボケているが、猫どものお尻に添えられているのは、母の両手である。
二匹そろって母の膝の上、ってわけ。
とりあえず、りりも母の膝に復帰しているらしい。
猫柄の綿入れエプロンを舐めているかは、不明である。