レレレのダメちゃん

 

 
 実は。
 ショッキングな光景を、目の当たりにしてしまった…。


 写真は、ない。
 撮れるような状況ではなかった。
 いや、もし撮れたとしても、彼の名誉のためには、公表すべきでないものであったと思う。
 でも、現実は直視せねば…
 私は、気付いてしまったのだから。
 
 

 

 ダメちゃんには、前歯が1本しか残っていない。 
  
  

 
 私が床に寝そべってダメと対面していたときに、ダメが欠伸をした。
 その瞬間、見えてしまったのだ、口の中が。
 上の牙と牙の間に、ゴマ粒のような前歯は1本しかなかった。
 そして、下側には、1本もなかった。


 ダメはもともと、歯が悪い。
 ごく若い時から歯肉炎を患っている。
 ミミさんも歯の悪い猫だったので、ひょっとしてうつったのか?と、思ったのだが。
「イエ、そういうことはありません。」
と、動物病院で言ってもらい、ある意味、安心した。
 歯の悪い猫は、唾液が多いような気がする。
 ミミさんの食べ残しのカリカリは、唾液で湿っていた。ダメはそれを貰い受けて(?)食べていたから、そこから感染したのではないか、とちょっと気に病んでいたのである。
 さらに。
 ダメの食べかけを、当時仔猫だったヨメが強奪していた。
 そうなると、我が家では歯肉炎の連鎖が止まないのではないか、と、恐れたのである。
 

 ダメの歯肉炎は、一種の体質的なものであるらしい。
「全部抜けてしまえば、それはそれで、猫にとってはラクになるんだけどねぇ。」
と、センセイはおっしゃる。
「歯がなくて、カリカリとか食べられるんですか?」
「大丈夫。歯ぐきで食べられるから。」
 そういえば、私が生まれる前に他界した祖父も、歯ぐきで煎餅をバリバリ食べていたと聞いた。
 やはり、大治郎君は、当家に来るべくして来た男子だったのである。


 で。
 まだ奥歯が若干残っている大治郎君は、元気にカリカリを食べているのだが。
 実は、彼には他に、食べられないものがある。
 それは、何と「かつおぶし」。
 いや、全く食べられないわけではない。また、私も、かつおぶしをそのまま食べさせているわけではない。(我が家は、猫におやつは出さないスパルタ教育家庭である。)
 ウェットフードの中に、かつおぶしが混ぜこまれている。これが、食べられない。
 噛みきれないらしいのである。
 丸飲みするにも、形状的に喉を通りにくいのか、大きなかつおぶしの断片があると、必ず皿に残っている。
 細かくちぎってやれば、何とか食べられる。
 そうやって食べさせていると、何だか老猫介護をしているような気分になる。


 そういえば、サンマの頭も、食べられなかったっけね。(2009.9.24.の記事参照) 


 ま、仕方ないか。
 何しろ、草食系男子だもん。


 目下の願いは、せめて牙だけは残ってほしいということである。
 
 
 

 そういえばキミ、よく床を掃除しているよね。
 ご飯場所限定だけど。