カッサンドラの出発(たびだち)



予告したとおり、家主は今日から、2週間の出張である。
この記事は、往きの長距離バスの中で、携帯から投稿している。


出発前の記念撮影。


まずはダメ。
緊張感なし。





ヨメ。カメラを向けると動く。





動く。





動く。駄目じゃん!!





やっと撮った一枚。ケツがデカい。





なぜこいつは、こうも写真がキライなのだろう。
魂を吸い取られるとでも、思っているのか。
しかし、ヨメよ。
今日から毎日来る「体操のおねえさん」は、
「2週間の間に、ムムを手なずける!」
と、息巻いていたぞよ。
どんなスーパーおもちゃを持参して、オマエの体力を吸い取りにくることやら。
ま、せいぜい覚悟せい。ウシシシシ。


とはいえ、迫り来る別れを前にして、いささかしんみりムードの家主ではある。
昨日は、ダメに、
「アタシのこと忘れないでよ。忘れちゃ嫌だからね。こんなに愛し合ってるんだから、ねえねえ。」
と、ネチネチと迫ってウザがられていたが、今日はウルウル攻撃である。
「淋しい思いさせてごめんね。(淋しいのは家主だけかもしれんが)
お姉ちゃんの言うこと聞いて、いい子でお留守番しててね。二匹で仲良くして、ね…。」
うるうるうる。
猫どもも、ただならぬ雰囲気を感じとったのか、いつになく神妙に聞いている。
…と、思ったのだが…。


私が朝御飯を食べていたら。


ドタバタドタバタドタバタ
ギャウーーー!!


おい、お前ら!
仲良くって、言ったばっかりやん!!


しかも。


バリバリバリバリ
おいこらっ!


ヨメの奴、昨日出したばかりの畳ラグで、しっかり爪を研いでいるはないか。


あああああ…
管理人不在のこの家が、一体どういうことになるのか。
違う意味でブルーになって、後ろ髪引かれる思いで我が家を後にした、家主であった。


姉に頼んで、ヨメの体力を、吸い尽くせるだけ吸い尽くしておいてもらおう。 まあ、焼け石に水、であろうが。


ボロ家に肥満猫。
悲惨な未来がありありと見てとれるのに、なすすべが、ない。
嗚呼。
無力感。


トロイアのカッサンドラも、こんな気持ちだったのであろうか。