粘り強い男

 

 
 
 今日は仕事納めであるが、家主は思い切り欠勤してしまった。
 体調不良である。
 昨日までは、休む気など全然なかったので、本当は、今日は、仕事納めの後、天竜さんやヨシハル♀と、猫の写真展を見に行って、その後、天竜さんの次回作について“編集会議”(という名の飲み会)をする、という、楽しい予定まで入っていたのに、である。
 職場に電話して、朝食を摂って、そのまま一日寝ていた。
 再び起き出してきたのが、午後4時頃。
 お腹もすいているし、薬も切れていたので、昼食とも夕食ともつかない食事を用意して食べた。
 その後。
 さすがにもう眠くはないので、起きてはいるのだが、何をしたらいいものか、困ってしまった。
 やらなければならないこと・やりたいことは山ほどあるのだが、何か行動するには、半端に調子が悪い。
 読みかけの本もあるのだが、何しろ、もともと主人公がキライでキライで仕方ないので、遅々として読み進まない本である。どうしても読む気になれない。
 温泉に行きたいなあ、などと思いながら雑誌をめくったり、通販のカタログを眺めたりして、本当に無為に時間を過ごしてしまった。
 
 
 我が家の猫の夕食タイムは、7時である。
 だが、実際のところ、猫どもは午後3時を過ぎたころから、小腹が空いてくるらしい。
 それでも、普段は私がいないので仕方なく我慢しているし、休日などで私がいても、気付かないふりをしているので、半分諦めている。
 しかし。
 奴らは、時計を見ているわけではない。自分の腹具合と、家主の行動パターンから「メシどき」を割り出しているらしいのである。
 その証拠に、一日家にいた時より、昼間出かけて夕方帰ってきた時の方が、メシコールがうるさい。「外出していた家主が帰ってきたら食事が出てくる」と思っているからであろう。
 ところで。
 家主の帰宅→食事というのは、夕食のパターンである。
 しかし、奴らは、時計どころか、昼夜の区別も考えていないらしい。
 では、朝食のパターンはどうかといえば、「寝ていた家主が起きてきたら食事が出てくる」なのである。
 もう、お分かりであろう。
 午後4時に私が布団から出て以来、その間違った思考経路により「今はメシ時である」と勘違いした某男が、いやはや、もう、うるさいのなんの、ってな話。
 
 
 彼は、私が目覚めたと悟った瞬間から、示威行動を開始していた。
 鳴く、舐める、つつく、枕元をデモ行進する。
 私が起き出すと、一目散にご飯場所へと走って行った。(伴走者あり)
 それでも、私が無視していると、再びデモ行進とシュプレヒコールを始めた。(同調者なし)
 それも、ね。
 威圧的な叫び声と、哀れを誘う蚊の鳴くような細い声を、交互に取り交ぜて鳴き続けているんだな。
 ちょっと静かになったな、と思うと、今度は、私の視線の先とか、下手をすると、私の真後ろに座って、熱い視線を投げかけているのである。
 目からビームの出る猫だったら、私はとっくに焼き殺されていただろう。
 何が凄いって。
 その努力を、3時間以上、たゆみなく続けた、という点である。
(ヨメは途中で寝てました。)
 
 
 その努力に負けたわけではなく、規定の時間が到来したので、猫に夕食を出す。
 やっと、静かになった。
 自分もそれで気分転換したわけだし、さすがにこれではいけないと思い、仕事関係の資料を読み始めた私。
 が。
 193ぺージあるうち、28ページ読んだところで、頭が飽和状態になり(疲れた、もしくは飽きたともいう)、早くも挫折。
 あああ。
 こんなことでは、一体いつ、読み終わるのだろうか。
 
 
 ダメちゃん、キミのその粘り強さを、私に分けてほしい。
 
 

 
 
 ところで、それをなぜこんな時間に更新しているのかと言うと。
 はい。すみません。
 結局、その後、こたつで寝落ちしてました。