関白宣言

 

  
  
 我が家の人気スポットは、リビングの掃き出し窓のそばに置かれた椅子の上である。
 特に、冬場は日当たりがよく暖かいので、見ると、たいていどちらかの猫が乗っている。
 いや。どちらか、どころではなく。
  
  

  
  
 結構な頻度で、猫が二匹とも乗っていたりする。
 
 
 そんな本日の昼間。
 おそらく、もともと椅子の上にはダメがいたのであろう。
 そこに、ダメちゃん大好きなヨメが。
 仲良く一緒に座っている、微笑ましい光景になるかと思いきや…
 
 
 ぜったいに、ど真ん中から動こうとしない、大治郎くん。
 結局、こんな位置関係で、しばらくヨメは小さくなっていた。
  
  

  
  
 ヨメよ。
 若い身空で、キミはそんなに、そのデブオヤジが好きなのか?
 そこまでして、ダメにくっつかなくても良かろうに。
 
 
 と、言いかけて、ふと気が付いた。
 私だって、ダメを部屋の隅に追い詰めてスリスリしている。
 おうちはこんなに広いのに。そして、ここは私の家なのに。
 と、思いながら、台所の隅に縮こまってダメにくっついていた私は何なんだ。
 
 
 これほど強力な引力を生じさせるとは。
 もしかして、ダメは磁場を発生する猫なんじゃないだろうか。
 掃除の手間さえなければ、ダメのまわりに砂鉄を撒いてみたい私であった。
 
 

  
  
 そして、夜。
 
 
 我が家の夜の人気スポットは、遠赤外線ヒーターの正面に当たる、折りたたんだ毛布の上である。
 猫という連中は、押し並べて毛布が好きな上に、ヒーターの前である。極楽スポットであろう。
 で。
 気が付いてみたら、こんなことになっていた。
 
 

  
  
 察するに、私がヒーターをつけたことに先に気が付いたダメが、まずは毛布を占領し、その後、ダメちゃん大好きヨメが、彼にくっつきに来たのだろう。
 いや、微笑ましいと、言えないこともないが…
 
 
 おい、ダメちゃん。もう少し詰めてやれよ。
 と、思うのは私だけではないだろう。
 
 
 私が写真を撮ったり、構ったりしたので、ダメは目を覚まして毛づくろいをしている。
 それなのに、やはり、ど真ん中に陣取ったまま、全く位置を変えようとしなかった。
 
 
 愛される側の立場となると、気弱な男も、かくまで傲慢になるものか。
 隅っこで頑張っているヨメが、ちょっとばかりいじらしく見えたりもする。