私は壁に立ち向かう

 

  
 昨日のトルコききょうの件について、猫飼いの友人から、さっそくメールが届いた。
 何でも、トルコききょうには、またたびに似た効果があるのだそうだ。
 ただし、中毒をおこす子もいるらしいので、その友人は、花束に入っていたりすると用心のため抜いている、と、いう話だった。
 なるほど。
 知らんかった…。
 ポトスといい、トルコききょうといい。
 我が家はつくづく、健全な猫育成には適さない環境なのだなあ、と実感した。
 
 
 しかし。
となると、ヨメがトルコききょうを攻撃していたのは、庶民だからではなく、ジャンキーだから、ということになる。
 なお悪いではないか。
 そういえば、のりピー覚醒剤問題が騒がれた時、専門家が「女性の場合、配偶者やパートナーが常習者であることが、薬物に手を染めるきっかけになる」と話していたっけ。
 なるほどね。
 言われてみれば、こいつの夫はマタ中である。
 我が家は、居住者の6割以上が、薬物中毒であったわけだ。
 荒んでいる…
 
 
 そう。ここは、万引きとかっぱらいと器物破壊が横行し、深夜や明け方には、暴走族が人々の安眠を妨害し、真昼間から、働き盛りの男が通りでゴロ寝する。女たちはいがみ合い、仕事にあぶれた者どもは、暇にまかせて、ささいなことから取っ組み合いの喧嘩を始める。配給の食糧を奪い合う以外には、何の目的意識もなく、飲んではふて寝するだけの毎日…。
 こんな環境で育った彼女の堕落を、責めることができようか。
  
 
 さて。
 話は変わり、本日は、我が家のプチリフォームの第二弾を敢行した。
 場所は、猫トイレ。
 我が家では、洗面所の片隅、洗濯機と入り口側の壁の隙間に猫トイレを置いている。
 隙間がギリギリでフルカバーは入らなかったので、猫トイレはハーフカバータイプ。
 当初は、それで十分だった。
 そう、恐怖の引っ掻き娘が現れるまでは。
 
 
 ヨメは、排泄物の始末が上手い。
 どこにあるのか分からないくらい、上手にウンチを隠す。
 そこまでは、いいのだ。
 問題は、その後。
 調子に乗った彼女は、いつまでもいつまでもいつまでも、しつこくしつこく、砂を掻いている。
 で。
 やがて、砂掻きでは飽き足らず、周囲の壁を引っ掻き始めるのである。
 我が家では、ある時点から、トイレ砂の中に壁紙が混じり始めた。
 ヨメが、ハーフカバーの上に乗り出して、トイレの突き当たりの壁を引っ掻き、壁紙を剥がし始めたのである。(もしかしたら、咥えて引っ張った時もあったかもしれない。)
 そんなわけで、我が家の洗面所の壁は、悲惨なことになっていた。
 
 
 これが、その写真。
 設置しているメタルシェルフごと、トイレを退けてみたところ。
 
 

  
 
 拡大すると、こんな感じ。
 
 

  
  
 近くでしみじみ見て分かったのだが、壁は予想以上に酷いことになっていた。
 最初の写真の赤丸をつけた部分。何と…
 

 
 すでに、壁の石膏が削り取られていたのである。
 深さにして、5mmほども、掘られていたであろうか。
「そのうち壁が抜けちゃうわ」と、冗談で言っていたのだが、冗談じゃなかった。 
 破壊猫、恐るべし。
 
 
 その壁の上に、以前、キャットタワー横の壁に貼った「木壁」を貼ってみた。
 
 

 
 
 猫トイレを設置すると、こんな感じ。
 ログキャビン風♪
 
 

(猫砂はパインウッド)
 
 
 素人考えではあるが、猫としても、石膏の壁より木の方が、爪のとぎ心地も良いのではないかと思うのだが。
 一応、ヨメにサービスしたつもり、でも、あったのだが…
 
 
 あ。
 同じ轍を踏んでる。自分で。
 
 
 プチリフォームを終えたのが、午後3時ころ。
 が。
 その後、猫どもは、どちらも全くトイレに入ろうとしないのだ。
 足す用がないから、なら良いのだが…
 
 
 そういえば、キャットタワーの横の木壁でヨメが爪をといでいるところって、未だに見たことがない。
 
 
 そういえば、ダメは、うちに来た時、一晩中、トイレに入れないで困っていたのだった。
 あれは、木の砂が原因だったのかもしれない。
 
 
 どうしよう。猫どもがトイレを使わなくなったら。
 超ヤバいかも。
 
 
 と、家主は深刻に悩みつつ、就寝したのでありましたが。
 大丈夫でした。
 朝起きたら、ちゃんと、大きさの違うウンチが二カ所、トイレの中にしてありました。
 
 
 壁の落書きに悩む街の行政担当者が、落書き専用の壁を作ってみたけれど、若者たちには見向きもされない。
 そんな話を、ちょっと思い出したりして。
 
 
 大都会の片隅。
 薬物中毒者60パーセント超のコロニーで。
 若者の破壊行為と、社会を立て直そうするオトナとの闘いは、まだまだ続く…。
 
 
 

 

 
それよりアンタ、頼むから、洗濯機にだけは穴をあけないでよね。