猫様ディナー

 

  
 今日も病院に行った。
 
 
 ヨメが朝ごはんを食べなかったので、病院に電話して相談したところ、「今日連れて来なさい」と。
 本当は、今日は午後休診なのだが、時間外でも5時くらいまでなら診てくれるということだったので、上司に事情を話し、早く上がらせてもらった。
 優しい先生と職場の皆さんに、ひたすら感謝、である。
 結果。
 ヨメの熱は、39度1分まで下がっていた。だが、
「まだ食べられないでしょうね。」
という感じ。
 食事時になると、食べには来るのだが、目の前にごはんを置くと、においを嗅いだだけで、カキカキして立ち去ってしまう。
「砂かけされると、悲しいですよね。」
 先生に、同情していただいた。
 ハイ、そうなんです。
 ま、我が家の場合、だからといって、ごはんが無駄になることは、有り得ないのだけれど。
 
 
 とにかく、何でもいいから食べてもらわないと。
「口当たりのいいもの、この子が食べたいものなら何でもいいです。」
 うーん、でも、我が家では、キャットフード以外のものは、ほぼ与えたことがないし、別に人間の食べ物に興味を持っている様子もないからなあ。
 何をあげれば、いいんだろう。
「ささみとか、お刺身とか。クリームチーズ舐めさせたり…。」
 当然だが、猫によって好みは違うので、そういう質問をしても先生も困るらしい。
「うちもよく、入院猫にお刺身食べさせたりしますよ。もう、魚屋では顔なじみになっちゃった。」
 ううむ。
 それって、ひょっとして、人間の入院患者より待遇がいいのではないか。
 魚屋でよかった。「魚河岸」じゃなくて。
 
 
 と、いうわけで。
 ヨメを家に置いてから、スーパーに買い出しに。
 ミミさんの時を含め、先生がおっしゃった食べ物や、知り合い宅の猫が食べると言っていた物を思い出しては、かごに入れる。
 普段、自分用の食材はほとんど生協で揃えているので、スーパーでこんなに食材を買うのって、本当に珍しい。何となく嬉しくなってしまったりして。
 我ながらコワかったのは、スーパーに長居をすると、お菓子やお惣菜を買いたくなってしまうこと、だったのだが、逆に、いろいろ買ったので買い物欲求は満足された。
 結局、猫に関係のない買い物は、セロリだけ。
 合計2,234円也。セロリと、ミミさんの骨壷に供えるお花を除くと、先日、私が感動しつつ食べた「海鮮ちらし大盛り」と、ほぼ同額だということに気が付いた。
 
 
 そして。
 ついに出た!
 これでどうだっっ!!
 
 

 
 豪華猫様ディナー。
  
 
 まずは、ダメを隔離し…
 
 

 
  
 まあまあ、後で余ったのはあげるから…。
 さあ来い、ヨメ!
 
 
 が。
 
 
 砂かけされた(泣)。
 
 
 いや、何となく予想された結果ではあったのだが。
 この後、ささみのゆで汁(スープ)も器に入れて出してみたのだが、それも完全無視。
 結局、今日も、歩くディスポーザーくん登場と相成った。
 
 
 思いがけないごちそうバブルに、狂喜乱舞するダメちゃん。
 
 

  
  
 アミューズ、スープからデザートまで、きれいに完食。
 
 

 
  
 ま、いいか。たまには。
 ダメちゃんだって、たまには腹いっぱいご馳走が食べられて、幸せってもんだ。
 
 
 が。
 
 
 この後、彼は公然と、夕食を要求してきたのであった。
 
 

  
 
 おいっ!
 オマエ、今さんざん喰ったろが!!
 もちろん、却下である。


 ヨメよ。
 夫を愛しているなら、早く普通のメシを食べてくれ。
 ダメがデブデブになっちまう。
 
 

  
  
 ところで。
 この豪華猫様ディナーの後には、使いきれなかった食材が残った。
 これは、人間が食するわけであるが、生鮮食材はさっさと何とかしてしまわねば。
 思いつくままに加工してみたら、けっこう量があるので、ごはん抜きでおかずだけ食べることにした。
 しかも、メインは魚介類。
 と、なると…
 
 

  
  
 夕食が、酒盛りに化けた。
 ちなみに、グラスの中身は、以前「かぼす」をたくさんいただいた時に、適当に作った「かぼす酒」の水割りである。
 もちろん、デザートはハーゲンダッツバニラ。
 
 
 なお、ここには出ていないが、まだほかに「ささみの生姜焼き」と「生利節」と「かにかま」と「クリームチーズ」がある。
 明日は、クラッカーを買ってこようかな。オリーブペーストも冷蔵庫に入っているし。
 
 
 一体、誰のための豪華ディナーだったのか、全く分からないことになった我が家であった。
 
 

 
 そりゃないぜ、ベイビー。