ダメちゃんの守護妖精

 この写真。
 分かりにくいかと思いますが、手前にある白い容器は、カリカリの保存容器。
 ダメちゃんの頭の下に、ちらっと見えている青紫色が、容器の蓋。
 で、ダメちゃんのしっぽのむこうの壁際に落ちている青紫は、カリカリを掬うスプーン。いつも、容器の中に入れっぱなしにしているもの。
 この配置、家主が帰宅したときのままです。


 
 留守中に、盗み食い事件が発生しました。
 現場の状況から察するに、これは被害者の防犯意識の低さが、食料品に困窮した犯人の出来心を誘ったものと考えられますが、衝動的な犯行にしては、手口が美しすぎる。
 まあ、犯人は、未遂も含め何度も前科のある「プロ」ですから、衝動的な犯行であってさえ、犯罪の美意識に恥じることのない行動がとれるのかも。
 とはいえ。


 現場写真を見て、キレイすぎる感じがしませんか?


 例えば、プラスチック製の容器は、なぜ倒れていないのか?
 また、写真ではわからないけれど、わずかな壁と食器棚の隙間やキッチンマットの下を含め、周辺には一粒のカリカリも散らばっていませんでした。
 そして、床に落ちたスプーンの底には、犯人が見落としたのか、残ったカリカリが5粒。
 犯行が単独犯で行われた可能性は非常に低いにもかかわらず、周囲には争った形跡、一切なし。


 おそらく、家主は朝、ヨメにカリカリを食べさせた際に、容器を床に置きっぱなしにし、蓋もキチンとしまっていなかったのでありましょう。
 が。
 犯行グループは、鼻先でゆるくしまった蓋を開け、中のスプーンを取り出して床に置き、軽いプラスチックの容器を倒すこともなく、お行儀よく顔または前足をつっこんで、仲良く順番に中身を食したのか・・・!?


 うーん。
 そんなこと・・・あるのかなぁ。
 不可解だ。


 きっと、舞踏会に連れて行ってもらえなかったダメちゃんを可哀そうに思った妖精さんが、魔法で中身を彼のお口に入れてくれたのに違いない。
 じゃあ、もし私が午前サマをしていたなら、きっと舞踏会にも行けたんだね。
 ごめんね、ダメちゃん。帰ってきちゃって。


(イエ、ぼく舞踏会より晩ごはんが早く食べたいです。)