ヨメの逆襲

 先日、ヨメが風呂ポチャ事故を起こしたことは、既にご報告済みである。
 あれは全くの事故であり、姑には何の悪意もなかったのであるが…ヨメはそうは思わなかったらしい。
 一昨日、明らかに猫意的と思われる不審な事故が発生し、姑は命を狙われたのである。


 日曜日午前中、「メシ!メシ!」て騒ぎ立てる猫共を無視して姑が惰眠を貪っていたところ。
 突如、枕元に立ててあった衝立が倒れ、寝ている姑を直撃。
 ただそれは、衝立と言っても、軽いアルミの枠に布を掛けただけのものなので、布団の上から肩に当たっても痛くさえなく、姑はアルミの枠を被ったまま、さらに眠り続けたのであった。
 これがヨメの犯行であることは、あらゆる面から見て明白である。
 実はその日、衝立には、いつもの床まで届く布ではなく、洗濯物の布団カバーが、著しく寸足らずの状態で掛けてあった。事件発生直前、ヨメはその寸足らずに「柳に飛び付くカエル」をして、カバーを引きずり落としそうになり、姑に厳しく叱られていた。この叱責が犯行の引き金となったことは、想像に難くない。


 しばらくして、姑がアルミ枠を被ったまま再び目を覚ますと、ヨメは部屋の隅っこにうずくまり、いかにも悲しげな様子を見せていた。
 計画の失敗に意気消沈したのか、あるいは、
(わざとじゃありませんわ…)
と、しおらしいフリを装っていたのかは、明らかでない。