ライアン社長は、意外に小さかった。



 本日、偵察に行って参りました。
 「Cats 安暖邸」。
 リトルキャッツさんが運営する、「猫カフェ風癒しの空間」である。



 紹介が遅れたが、リトルキャッツさんは、ダメ・ムム・りりが仔猫時代にお世話になっていた、保護団体さんである。
 山梨県を拠点に活動されているのだが、このたび、都内(東急目黒線西小山駅近く)に、常設の譲渡会場でもある、この「安暖邸」をオープンした、と、代表のyuuさんのブログで拝見した。
 里親募集の猫たちだから、いわゆるブランド猫はいない。しかし、数多い保護猫の中から選りすぐりの甘えた猫たちだから、楽しい時間が過ごせることは請け合い。
 私が過去に訪れたことのある一般の猫カフェは、二軒とも「抱っこ禁止」であった。もちろん、猫のためには止むをえないのだが、スキンシップ希望者には、少々物足りない。
 しかし、「安暖邸」の猫たちは、自分から膝やら肩やらに乗ってくるという。
 本当だろうか。
 受け売りで人には勧めていたのだが、内心、本当かどうか自分で確かめなきゃ…と思っていた。といっても、一人で行くのもナンなので、本日、母を誘って偵察に乗り込んだ次第である。

 
 で、結果は…


 本当でした。



 仔猫たちは、勝手に膝に乗ってくる。
 しかも、いつの間にか…、

 


 一匹が二匹に増えていたりする。
 ガマの油売り状態である。
 写真は撮れなかったのだが、最初に気付いた時には、母の膝には四匹の仔猫が乗っており、さらに、周りを複数の猫たちが取り囲んでいた。
(ちなみに、写真が撮れなかったのは、その時は、私自身も複数の仔猫に膝に乗られて動けなかったためである。)


 中でも、何があっても膝から降りなかったのが、「シャム1」「シャム2」(名前がネタ切れしたので、とりあえずそう呼んでいるらしいです)の兄弟猫。
 可愛いやつらであった。
 が。
 実は、こいつらは三兄弟なのだそうだ。
 もう一匹、「シャム3」がいる。
 ところが、その「シャム3」だけは、
「半野良状態なんです。」
と、スタッフの方はおっしゃっていたが、それは言い過ぎ。
 決して人間がキライなわけではないのだが、人見知り過ぎて、こうした場で、うまく甘えられないヤツらしい。
 どこかで聞いたような話である。
 1年3カ月前くらい。
 お見合いの席から、一目散に逃げ出した猫がいたっけね。
 なぜか、そのお見合いは成立して、そいつは今、我が家にいるけど。


 どうやら、私はもうすっかりヨメに毒されてしまったらしい。
 もし、どれか一匹貰わなければならないとしたら、私はコイツだな、と、瞬間的に思ってしまった。
 末期症状である。
 

 と、まあ、何だかんだと楽しかったのであるが。
 こうして、人懐っこい仔猫たちと触れ合ってみて、実感したこと。
 ワタシはやっぱり、成猫が好き。
 そして、大猫が好き。
 さらに、懐かない猫にそそられる。
 安暖邸の中では、大きくて悠然とした「チャー君」に1票。
 緑色の目も、実に綺麗な猫さんだった。



(左側の寝ている茶色の猫がチャー君。手前に座っているのが、シャム1号。遠近法の関係で大きく見えるが、シャム1号はこの半分以下の大きさだと思ってください。)


 ところで。
 安暖邸には、成猫も何匹かいる。「社長」のライアン君、「営業部長」のチャー君、「会計担当」(?)のさっちゃん、そして、yuuさんのブログで、一時期、内輪ブレイクしていたミモザ君、など。
 安暖邸には、成猫・仔猫とりまぜて30匹ほどの猫がいるそうな。
 そして、その最高権力者が、泣く子も黙る?ライアン社長らしい。
(ライアン君の写真、撮り忘れました。すみません。)


 ライアン君は、yuuさん宅(通称「猫屋敷」)にいたときから、ブログに時々登場していた。文面と写真の印象から、私は、大きくてコワモテのボス猫タイプを想像していた。
 が。
 実際には、ライアン社長は、知らない人間に対しても、至極、穏やかな猫だった。
 長毛の胸の辺りに、たまたま毛玉を見つけたので、半分抱きかかえるようにしてほぐしてやったのだが、そんなことをされても、大人しく、されるがままになっていたほどである。
 そして。
 意外なことに、彼は大猫ではなかったのだ。


「5キロくらい?」
「うーん、3〜4キロですかね…。」
 そんな会話が、交わされた。
 猫の体重を、見た目だけで判断するのは意外と難しいが、確実に言えるのは、ライアン君はダメちゃんより小さい、ということだった。


 私が、ライアン君の大きさを問題にするのには、理由がある。
 確か、ライアン君は、yuuさんの「猫屋敷」で、ダメちゃんより古株か、あるいは、同じくらいであったと思う。
 当時、ダメちゃんは、猫同士の競争で落ちこぼれ、ごはんレースに参加さえできずに、皆が食べ終わった後の皿を舐めていた、と、yuuさんから聞いた。
 事実、我が家に来た時、ダメちゃんは痩せていた。(今では見るかげもないが。)
 そして、表情のない猫だった。
 猫社会の中で、完全な「負け組」だったのだ。


 片や、ライアン君は、猫社会の「勝ち組」である。
 それは、当時から明確に分かれていた明暗であろう。
 ところが、5年を経て、今、「負け」のダメちゃんは、「勝ち」のライアン君より、確実に1キロ以上大きいのだ。
 ライアン君が、気性の荒いケンカ傷だらけの猫なら、納得する。
 でも。
 そうじゃない。
 彼は可愛い。
 今まで思い描いていた「猫社会の光と影」物語は、現実とはちょっと違うものだったのだ。


 まあ、ね。
 今回、ドラフト1位指名された大学野球の某選手だって、高校時代は控えだったというし。
 5年も経てば、立場は変わってくる、ということなのかもしれない。


 と、結論づけたかったのだが。


 内心、私は信じている。
 例え体は大きくても、もし今、ダメが安暖邸の仲間になったとしたら、やっぱり残った皿を舐めているであろう、と。
 

(我が家のハンカチ王子。大きいのは体だけ!?)