ムム嬢の大猫的予測
先日、実家から、ダイエット中のりりの体重が「4㎏を切った」というメールが届いたため、比較のため、当家の猫どもについても、体重測定を断行。
メインは、このところ膨張著しいヨメ。
のはずが、こいつ、やたらと勘だけはいいやつで、目が合ったとたんにダッシュで逃げる逃げる。仕方なく、当初は測るつもりはなかったダメをつかまえて、先に体重計へ。
結果、ダメはどうやら少し痩せたらしいことが判明。(少しだよ)
よかったね、ダメちゃん。
で。
1時間余りが経過し、ヨメが油断したところを、狡猾な家主は背後からこっそり忍び寄って一気に捕獲。そのまま体重計へ。
ところで、一般家庭では、猫の体重って、どうやって測っているのだろうか。
当家の場合は、①人間が猫を抱いて体重計に乗る→②猫を抱かずに体重計に乗る→③①から②を減じて猫の体重を求める、という方式をとっている。
即ち、①の間、猫は人間に大人しく抱かれている必要があるわけであるが…。
ダメやミミさんは、最終的にはもがくものの、しばらくは大人しくしていてくれたので、体重計の数値を確定させるだけの余裕はあった。少なくとも、「このへんで推移している」と、読み取ることはできた。
が。
ヨメは、そうはいかない。
こいつの体重を読み取るには、相当の動体視力が要る。
何しろ、抱っこが大キライで、力の限り暴れる。もちろん、人間の方が力はあるのだから、無理やり抱きとどめることはできなくはないのだが、こいつは普段から絶対爪を切らせないので、暴れられると人間だって相当痛い。限界まで痛みに耐えながら、目まぐるしく動く体重計の数値に目を凝らし、「多分これ」、という数字を読み取って、ようやく針山地獄から解放される。もとい、猫を解放する。
で。
一応、自分の体重を測りなおし、引き算をして出た数値は…。
4.5㎏。
まさか、ね。
だってこいつ、まだ育ちきってないんですけど。
避妊手術もしてもらったから、実は雄でした、という可能性も、ない。
獣医さんの予言が的中したのか。
いや、きっと、私の動体視力が足りず、体重計の数字を見誤ったのであろう。そういうことに、しておこう。
(だからといって、もう一回測るのは、ちょっと勘弁である。)
それにしても。
このごろデカくなったヨメは、はっきり言って、見るからに野良猫系である。仔猫のころから、イマイチ愛くるしさに欠けるガキではあったが、大きくなってから見ても、世の中に星の数ほどいる雑種猫の中から、敢えてこいつを飼おうとする人間の心中は、理解に苦しむとしか言いようがない。
即ち、こいつのどこが、飼い主となる人間のハートをゲットしたのか、その心理的ドラマの軌跡が全く辿れないような容姿の猫なのである。
しかも、こいつの飼い主に対するサービス度は、いにしえの社会主義国家の国有鉄道駅員並みである。
私が思うに、飼い猫は人間におさわりさせるのが商売であって、抱っこはイヤとか、やたらに触るななどといったワガママは、見た目だけで飼い主を魅惑する美猫にだけに許される特権に他ならない。器量が悪い上に愛想のない猫などというものは、そもそも、飼い主が付くはずがないのである。
それなのに。
こいつは我が家で、ロイカナを腹いっぱい貪り食いつつ、のうのうと暮らしている。
世の中は何故、かくまで不条理ばかりがまかり通るのであろうか。
こいつがロイカナで4.5㎏。
許せない・・・と、柳眉を逆立てる美女猫はたくさんいるはず。
あ、猫に眉毛はないか。