便所兄妹


 はじめに。
 yuuさんのブログからお越しいただいた方へ。
「安暖邸」の記事は、10月31日です。タイトルは「ライアン社長は、意外に小さかった。」
 右の「最新タイトル」からお入りください。


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 ヨメはお風呂が好きだ。
 毎日ではないが、このところよく、女同士、一緒にお風呂に入っている。(もちろん、ヨメはただ風呂場にいるだけだが。)
 対するダメは、水がキライ。故に、使用中の風呂場には、決して入ってこようとしない。
 しかし、ヨメと私が二人きりで風呂場に籠っていることは、彼にとっては心穏やかならぬことらしいのだ。取り残された男は、いつも女湯の前に座りこんで待っている。その目には、仲間はずれの悲哀がある。


 おそらく、そのことへの対抗措置であると私は推理しているのだが。
 ヨメがお風呂に来るようになったのとほぼ時を同じくして、ダメの「人トイレ突撃訪問」が始まった。
 外で鳴いたり、ドアを引っ掻いたりするので、ドアを少し開けてやると、のっそりと入ってくる。手の届く範囲で撫でてやると、トイレマットの上に座って、のんびりとくつろぎ始める。
 困ったヘンタイ男であるが、猫バカ的には、結構、かわいい。
 ただし、世間様がどう思うかは、別問題である。
 なお、面白いことに、お風呂とは逆に、ヨメは絶対にトイレには入ってこない。ダメと私が籠っているとやはり気になるのか、ドアの外まで来るのだが、中に入るのには、何か激しくためらいがあるようなのだ。
 そりゃそうだよね。
 同性だって、普通、トイレに一緒には入らない。


 …と、思っていたのだが。


 実はいたんです、他にも便所猫が。
 うちの実家に。


「りりちゃんは、おトイレまでついてくるのよね。」
と、母は目を細めて話した。
 世間様がどう思うかなど、全く問題になっていないらしい。
 天真爛漫おバカ猫の特権である。
 りりは、実家で絶大な人気を博している。故に、何をやっても、
「かわいい!」
か、
「おバカだねえ。」
で、済んでしまうのである。
 それにしても。
 どうしてこのキジトラーズは、やることなすこと、全て同じなのだろう。
 やはり、生き別れの兄妹なのだとしか思えない。


 ところが。


 このキジトラーズの同一行動を、当家の伝統だと勘違いしたヤツがいた。
 便所猫が当家の家訓だと、彼女は理解したらしいのである。


 なぜかこのごろ、私が猫トイレを掃除していると、必ずヨメがやってくる。
 来たところで、必ずしもトイレを使うわけではない。ただ、私の周りをうろうろしているだけ、ということも多いのである。
 確かに、しばらく前から、ヨメは私に寄ってくるようになってはいる。しかし、ストーカー猫では、断じて、ない。
 ヨメが(ほぼ)必ず来る時というのは、
① ごはんの時(これは当たり前)
② お風呂の時(前述のとおり)
そして、③ トイレ掃除のとき、だけである。
 まだ日は浅いが、どうやらコイツも便所猫を目指しているらしい。


 婚家の伝統を受け継ごうとする、その努力は評価する。
 しかし、ヨメよ。
 キミのその理解は、間違っている。
 それに、百歩譲って、便所猫が当家の伝統だったとしたも、キミの努力の方向は、やはり間違っていると思う。


 人間のトイレの便所猫ならまあ可愛いけど、猫トイレの便所猫というのは、あまりにもベタすぎないだろうか。



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 31日の「Cats安暖邸」の記事ですが、リトルキャッツのyuuさんが、ご自分のブログの中で紹介して下さいました。
 お陰さまで、1日から今日までで、すでに通常の4か月分相当の数のアクセスをいただいております。
 これまで、知り合いしか見ない内輪ブログだと思って、安心(慢心)し切っていたのですが…。


 突然、有名になってしまったダメちゃん。
 いい気になって、「事務所を変わる」とか、言い出すんじゃないだろうな。
 無名だったキミがここまで来られたのは、一体、誰のおかげだと思っているんだ。
 まさか、それを忘れたわけじゃないよな。
 今、キミに移籍されると、うちの事務所は、倒産の危機なんだよ。
 キミは恩知らずじゃないよな。
 な、大治郎君。



(ていうか、まだ倒産してなかったんですか?)


 ・・・・・・???


(だって、毎月、給料日前になると『ハサンだ』って、騒いでるじゃないですか。)


 そういう人語は、理解しなくてよろしい。