休日の猫たち


 2〜3年も前になるだろうか。「ダメちゃんのうた」(替え歌)を作るのに、凝っていた時期がある。
 そのとき、ついでに出来てしまった歌。題して「全国共通猫の歌」。
 以下に歌詞を掲載する。節は「ゲゲゲの鬼太郎」。


   ニャ、ニャ、ニャニャニャのニャ
   朝は寝床でギャーギャーギャー
   メシまだか メシまだか
   猫には休日も
   遠慮のカケラもにゃい!
   ニャ、ニャ、ニャニャニャのニャ
   人間起こそう ニャニャニャのニャ


   ニャ、ニャ、ニャニャニャのニャ
   夜は風呂場で運動会
   嬉しいな 嬉しいな
   猫は労働しない
   掃除も何にもにゃい!
   ニャ、ニャ、にゃにゃにゃのニャ
   みんなで散らかそう ニャニャニャのニャ


 と、自分で作っておいてナンだが。
 うちの猫たちは、このとおりじゃないんだな。


 うちの猫どもは、休日、私を起こさない。
 といっても、別に遠慮しているわけではない。諦めているだけである。
 その証拠に。
 ダメは、私の枕の横で、ずっと私が起きるのを見張っている。
 で、私がちょっとでも身動きなどしようものなら、期待をこめて騒ぎだすのである。
 そして、私が、動いただけでそのまま再び寝に入ると…
 彼も、再び黙って寝に入る。


 ちなみに、ヨメであるが、こいつはその間、好きな場所で好きなように過ごしている(ようだ)。
 こいつは、私が布団の上に起き上がってからではないと、催促に来ない。
 起こすところまでは、ダメにやらせている、とも言えるが、実際には、ダメが騒ごうが何しようが、私は自分が起きたくなるまで起きないのだから、要するに。
 ヨメは、無駄な労働は一切しないのである。
 あくまで合理的な女なのだ。


 私が起きたら起きたで、ダメは常に、私の後をストーキングしている。
 休日は気が緩んでいるから、ちょっと物を取りに行っただけなのに、本棚の前に来ると、つい、手近な本を引っ張り出して、読み始めてしまったりする。
 北側の部屋で、寒いのに。
 分かっていても、ついやめられなくなる。
 すると。
 その寒い部屋へ、リビングの陽だまりを捨ててダメがやってくる。
 そして、寒そうに丸くなっているのである。


 朝と言い、昼間と言い。
 粘着質なストーカーである。
(トイレまでついてくるし)


 あ、そうか。
 ストーカーだと思うからいけない。
 デカいし、遠目にはコワモテだし、そう、SPだと思えばいいのだ。
 いいじゃない、重要人物になったみたいで。



 ・・・・思えない。無理だ。
 だいいち、VIPが冷たい床に座っているのに(繰り返すが、北向きの部屋である)、SPがソファーで昼寝していて、良いものだろうか。 


 リビングに戻ったら戻ったで。
 座布団に座ってお茶を飲んでいると、お尻をつつかれる。
 ストーカーくんではない。
 おい、何だよ。
 

 あ…


 彼女の狙いは、お尻の飾りポケット蓋についているボタン。
 いいけど、飾りだし。
 何なら、あげようか?それ。
(座るたびにお尻をつつかれていたんじゃ、たまらん。)


 平日は、一日中、猫と戯れていたいと本気で思う日々であるが、たまに終日、引きこもりをすると。
 基本的には、猫は猫で、勝手にやっていてほしい。
 などと、それこそ勝手なことを思ったりするのだった。
 陽だまりで昼寝している姿を見るだけでも、こっちは結構、幸せになれるのだから。


 椅子の上で昼寝するダメちゃん。
 可愛い…



 と、ホンワカ気分になりながら、ふと上を見上げると…




 アンタ、何ちゅうカッコして寝とるんじゃい。