変身する猫


 先日、うちのヨメが「押して開けるドアが開けられない」ということを書いたのだが、その後、彼女はめでたく、ドアを押し開けられるようになったようである。
 記事を書いた翌日くらいに、例の扉を北側から押し開けて入っているのを遠くから目撃した。遠目にではあるが、すぐに開いたように見えたので、「これは…」と思っていたのだが。
 今日、場所は違うが、浴室の扉を押し開けて通るところを確認した。
 あのとき、ちゃんと学習していたのである。
 よかった!
 こいつも人並み(猫並み)に、学習能力があったのだ。


 ただし、やり方が、ちょっとヘンだけどね。
 観察していたら、まず、わずかな隙間に前足を入れてゆさぶりをかけ、隙間が広がったところに、鼻先を突っ込んで、結果的に押し開けられた空間を前進して通っていた。
 この方法からすると、どうやら、彼女的には「押して開けた」のではなく、「隙間をこじ開けて無理やり潜り抜けた」と認識しているのではないかと察せられるのだ。
 まあ、いいか。
 猫的な見地からは、「ドアを開けて通る」ための方法がマスターできれば、それでいいわけで、「しくみ」だの「理屈」だのの理解を求めるのは、人間だけなのだから。
 猫としては、十分、及第点。
「賢い」とされるサビ猫の面目を、何とか保ったわけだ。


 こうした資質的な面だけでなく。
 外見的にも、ヨメはだんだん、サビ猫らしくなってきた。
 もともと、見た目の印象が「黒猫」になるくらい、黒の割合が多かったのだが、このところ、全体的に茶色の部分が増えてきたように思える。



 こんなところに、茶色い毛、あったっけ?
 首から上は、ほとんど黒しかなかったような…


 あ、ここは、1歳になったころからあったけどね。



 猫の被毛の柄が、長ずるに及んで変わってくることは別に珍しいことではない。
 実家のなな姐さんは、今でこそ非の打ちどころのない真っ白猫であるが、仔猫の頃は、頭に黒い模様があった。
 以前、このブログで紹介した、友人の友人の猫「コタローくん」(2010.9.5の記事参照)は逆に、仔猫のときは、顔も胴体も白かったのだが、現在は、顔にも胴体にも模様(色)がある。あまりにも劇的に変化したので、関係者の間では、飼い主の留守にすり替えられた説が、まことしやかに囁かれていると聞く。
 まあ、コタローくんについては、当初から予告されていたことでもあるのだが。
(コタローくんはシャムMIX。シャムは一般的に、生まれたときは単色で、シールポイント=暗色の部分=が定着するのは12〜15ヶ月の頃と言われている。)


 こうしてみると、ブチ系の猫は結構、柄が変化するのかもしれない。
 逆に、トラネコは、歳をとると口の周りが白くなる程度で、あまり変化がないような気がする。
 いや、変化しても、同じトラ柄の中でのちょっとした変化では気が付かない、ということか。


 そういえば、ダメがまだずっと若い時、お風呂の蓋の上から洗い場に飛び降りながら、
「トウ!」
と、叫んだ(鳴いた)ことがあった。
 トウ!って言ったけど、変身しなかったな、と、その時は思ったのだが。


 ひょっとしたら…


 これって、そのとき生えたんだったりして。



 ダメンライダー1号、誕生の瞬間である。