ゴロツキ・その後


 
 
 先日の「ゴロツキ」の記事であるが。
 本来なら、そこには、ダメちゃんが玄関でゴロゴロしている写真を載せるべきであった。
 が、実際には、ダメちゃんは玄関に立っていて、ゴロゴロはしていない。
 なぜ違う写真なのか。
 簡単にいえば、写真が撮れなかったからである。
 そして、今なお、ダメちゃんの「玄関ゴロゴロ」写真は、撮影に至っていない。
 一体、なぜ!?
 その理由は、被写体自身の「撮影拒否」である。


 猫の写真が思いどおりに撮れないなんて、本来、別に驚くほどのことではないのだが。
 ただし、断っておきたいのは、ダメちゃんはカメラを拒否しない猫だということである。
 冒頭の写真は、その「証拠」として載せた。
 別に、ポーズをとってくれたり、動いている途中で止まってくれたりはしないが、カメラを向けても別に気にしない。しつこく追いかけ回すと、さすがに迷惑そうな顔をするが、基本的には「どうぞご勝手に」というスタンスなのである。
 ところが、この「玄関ゴロゴロ」に関してだけは、完全に撮影を拒否している。


 話は、「ゴロツキ」の前日、12月8日に遡る。
 そろそろ、ダメちゃんの「玄関ゴロゴロ」をネタにしようかな、とぼんやり考えていた私は、ふいに、だったら先に写真を撮ってしまえ、と、思い立った。
 ダメが玄関に来れば、ゴロゴロするかもしれない。
 ダメをどこかにおびき寄せるのなんて、簡単である。彼は模範的なストーカーであるから、私が玄関に行きさえすれば、間違いなく彼も来る。
 で。
 私が玄関に立っていたら、「寒い」と感じる間もなく、彼は来た。
 掲載した写真は、そのとき撮ったものである。
 が、ゴロゴロしない。
 そういえば、彼がゴロゴロするのって、私が帰ってきたとき限定だな、ということに、そのとき思い当たった
 それが結局、ネタになったわけだが。


 そこで、翌9日には、帰宅したらすぐ写真を撮ることにした。
 予め、カメラを玄関先に用意し、玄関周りを片付けておく。
 さらに、(障害物があると写真が撮りにくいので)、自分の脱いだ靴も片付けてから、さあどうぞ、と、玄関とリビングの間の扉を開けた。
 先刻から、扉の向こうで騒いでいたダメちゃん。さっそくダッシュで玄関先に駆けつけてきた…のだが…、


 止まった。


 仕組まれたワナに勘付いたのだろうか。
 玄関の上り口手前50センチのところで、彼は突然、体を前にのめらせながら急停止し、そのままくるりと踵を返して、一目散にリビングに駆け戻ったのである。


 そして。
 その日、彼は結局「玄関ゴロゴロ」をやらなかったのだった。


 その翌日以降も、私はリベンジを企んだ。
 昨日は、靴を片付けたりしたのが、いけなかったのかもしれない。
 いつもと状況が違うので、猫は警戒したのであろう。
 普通に帰ってきて、普通に玄関に上がれば良いのだ。
 ただし、撮影チャンスが短いから、カメラだけ玄関に用意しておこう。


 ところが。
 翌日以降も、私がカメラを持ち出すと、なぜか、ダメはゴロゴロをピタリと止めるのである。


 そればかりではない。
 ある日、カメラを隠し持って玄関に近付き、照明のスイッチを入れたら…


 バチッ
 

 …え!?


 電球が、切れた…!?


 キミ、一体どんな超能力を使ったんだ。


 その後、カメラは玄関から室内に引き上げたが、ダメの警戒ぶりは変わらない。
 私が室内に入るのとすれ違いで玄関に走っていくところまでは、毎日同じだが、私が振り返って見ていると、彼は「ゴロゴロ」をしない。もしくは、止めてしまう。
 明らかに、私の視線を意識しているのだ。


 分からん。
 なぜそこまで頑なに、見られることを拒否するのか。


 実は本当に、何かやましいことがあるんだったりして。
 
 
 
 
 

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