拝啓ドラえもん殿
先日、職場のランチタイムに、「ドラえもん」の話題になった。
ドラえもんの道具の中で、何が一番、欲しいか。
おそらく、日本全国のほとんどの方に賛同してもらえるものと確信するが、第一位は、満場一致で「どこでもドア」。
これさえあれば、常に職住近接。遅刻なし。
交通渋滞もなくなるし、騒音も大気汚染も激減。温室効果ガスだって削減できる。実に社会に貢献する道具ではないか。
一方、第二位は揉めた。
「タケコプターはいらないよね。」
という点で再び満場一致を見るあたりが、オトナの夢のなさであるが、じゃあ何?と言われると、とっさに思いつかなかったりする。
今考えると、収納に便利な「スモールライト」なんてものもいいなと思うが、そのとき、私が出した意見。結構、賛同を得た。
「ホンヤクコンニャクがほしい。」
そう、これさえあれば、外国人のお客様だって怖くない。
しかし、そればかりではなかった。
「動物と話ができるといいよね。」
…え!?
そんなの、私は全く考えつかなかった…
「家の猫と話ができるといいんじゃないの?」
と、当然のごとく話を振られたが、私は断固、反対した。
そんなの、ヤダ。
だって。
「どうせ、ロクなこと言っていないに決まっている。」
何しろ、猫だもん。
居候の身だから遠慮する、とか、人を気遣って婉曲表現を使う、なんて発想を、持っているわけがない。
例えば、こんな感じ。
夕食のお皿の周囲をカキカキするヨメ。
深夜残業の後、ヘロヘロになって帰宅した私に、苦情を言うダメ。
そして、疲れを癒してもらおうと、スリスリを強要した私の腕から抜け出した後は、
家庭生活が不愉快になること、請け合い。
と、ここまで書いてきて、ふと気付いた。
私は彼らのコトバを、すでにここまで、頭の中で翻訳して聞いているのである。
だとしたら、彼らがそれを、猫語で言おうと、日本語で言おうと、同じことではないか。
検討すべきは、彼らが全く別のことを言っていた場合、ではないだろうか。
・・・・・・・・
拝啓、ドラえもん殿。
ホンヤクコンニャクは、やはり、人語用だけで結構です。