酪猫生活

 

 
 先日、この写真を姉に写メしたら、「ムムがデカい」という感想が返ってきた。
「ダメちゃんが鏡に映っているのかと思った」と。
 確かに。
 この写真だと、遠近法の関係で、むしろヨメの方がダメより若干大きくさえ見える。
 また、別の日には、天竜いちごさんに、
「ダメちゃんとムムちゃんって、実は結構、体格差、あるんですか?」
と、訊かれた。
 毎日、実物を見ている私にとっては、ダメの方が一回り大きいということは、説明するまでもないこととなっていたが、なるほど、写真では大きさが伝わりにくいらしい。
 そこで、見た目のイメージに近い写真を探してみた。
 こんな感じ。
 
 

(ちなみに、この写真は、家主がエステでもらってきたアロマオイルつきのコットンを、二匹で検分しているところです。)


 写真では、見た目のイメージより、遠近法が強く出るような感じがする。
 もっとも、モノの本によれば(出典は忘れました)、人間の「見る」行為は、必ずしも風景を正確に捉えていないのだそうである。「何を」見るかという意識下の判断が働くため、「見よう」としていないものは、ぼやけていたり、小さく見えたりしているらしい。遠景の細部まで精密に描き込まれた遠近法初期の絵が、不自然な印象を与えるのは、そのせいなのだという。
 となると。
 私が見ている二匹の体格差のイメージは、あくまで「イメージ」であって、逆に、実際には私が思っているより、二匹の体格差は少ないのかもしれない。


 体重を測れないので定かではないのだが、確かに、ヨメは、雌としては、結構大きいような気がする。
 特に、入浴時、お風呂に浸かりながら、眼前の蓋の上にいるヨメを見ていると、デカいなあ、としみじみ思う。
 獣医さんの予言のとおりである。
 ただし、ヨメとダメは、基本的に体型が違う。
 オスメスの違いでしょ、と言われそうだが、実は逆である。
 筋肉質でがっちり型の男性と、脂肪が多くぽっちゃり型の女性という、人間の性差とは相反して、二匹を較べると、ダメの方がぽっちゃりしている。
 ヨメはがっちり系。ときどき、肉牛みたいに見えたりする。
 
 

 
 
 対するダメは、明らかな脂肪太り。
 もちろん、土台には筋肉がしっかりとついているのだが、その上に脂肪がついてダルマさん状態になっている上、ハラの肉が垂れ下がり、ほとんど乳牛の乳房である。
 
 

(写真よりもっと垂れています。私の「イメージ」では。)


 まあ、ヨメは別に太っているわけではないので、いいとして。
 何でこんなになっちまったんだろう、と、時々、ダメの「乳房」を見て、反省の念に囚われることがある。
 今が特別太っているわけではない(ということにしておきたい)。
 一時期、7㎏に肉迫するほど太った時があったので、そのとき伸びきったハラの皮が縮まないのである。
 そして。
 ダメは痩せてくると、その「乳房」の中身が薄くなり、太ってくると充実してくる。そんなわけで、私は時々、彼のお腹をモミモミして、肥満度をチェックしている。
 おそらく、それゆえに。
 彼は、自分がゴロンしているときにお腹を撫でられることは厭わないが、お腹が下を向いているときに、私にお腹を触られることに抵抗を示すのであろうと思われる。
 要するに、デブを指摘されると傷つくのであろう。
 その気持ちは、よく分かる。


 それにしても。
 どちらの猫も、同じように、普通に飼っているだけ、なんだけどなあ。
 やはり、栄養管理に問題があったということなんだろうか。


 私は東京生まれではないが、都内に住んで、もう十年以上になる。
 その間、都民税だって滞納なく納めているし、ゴミ出しのルールだって、守っている。
 だから。
 そろそろ、「江戸っ子」の末席に座らせていただいても良いと思うのだ。
 だから、ね。


 許してもらってもいいでしょ、「猫のしいく」と「猫のひいく」を間違えたって。


 あ、でも。


 肥育するのは肉牛であって、乳牛は「飼育」するんだった。