コミティア

 

  
  
 天竜いちごさんに連れられて、初めてコミティアなるものに足を踏み入れた。
「何だか、猫山さんをオタクの世界に引きずり込むようで、申し訳ないです。」
と、天竜さんは恐縮していたが、私としては、普段行けないところに連れて行ってもらえて、ナカナカ楽しい体験ではあった。
 とはいえ、何ゆえ二人でコミティアなんぞに行ったかと言えば、実はちゃんと理由がある。
 何を隠そう、天竜さんは、10月のコミティア出展を狙っているのだ。
 そして、その際には、私も売り子として、一緒に参加させてもらう約束をしているのである。
 
 
 とはいっても、私はマンガもゲームもファンタジーも良く知らない、完全なド素人である。そもそも、コミケコミティアの違いさえ、今回、教えてもらうまで、全く知らなかったのだ。
(註:私と同様、知らない方のために。コミケは二次創作がメインで、コミティアは、完全なオリジナル作品のみの出展であるらしい。ちなみに、コミケはコスプレOKだが、コミティアは禁止なのだそうな。)
 天竜さんは、予めチェックしてきた作家さんのブースを回っては、色々購入していたが、ド素人の私は、だーれも知らないので、数限りなく並ぶキレイな表紙やポスターを眺めて、目の保養をしていた。
 やがて、自らのノルマ(?)を達成した天竜さんが、
「じゃ、『動物』のコーナーを、見に行きましょうか。」と。
 もちろん、私の趣味を察してのことである。
 結果的には、私もそこで、猫本を一冊買った。
 
 

 

 
  
「動物」コーナーを見に行ったのには、実はもう一つ、理由がある。
 天竜さんが狙う、10月のコミティア参加。彼女はそこで、もう何年も前から取り組んでいる、自らのオリジナル作品を出すつもり、であったのだ…けれど。
「その時は、一冊じゃ淋しいから、ダメちゃん本も作って一緒に出そうかな。」
と、最初は冗談のように言っていたのが、
「やっぱり、ダメちゃん本だけになっちゃうかも…」
と、弱気な発言が増えてきた、今日この頃。
 オリジナル作品のキャラクター設定その他に迷いが生じたようで、このところ行き詰っているらしい。
 クリエイティブな活動をする人には、ありがちなことである。
 そんなこと言わずに頑張りなよ、と、自らは絵心ゼロの先輩は、無責任に励ましてきたつもりではあったのだが。
 そうこう言っているうちに、すでに申し込みの時期に至り、ついに彼女は、
「やっぱり、ジャンル『動物』で、申し込んだ方がいいかも。」
とまで、言い出したものである。
 おいおい。
 それは本末転倒ではないかい?
「だって、こっちはすでにキャラ設定ができてますから。」
 でも、ハナシは全然できてないんじゃない?
「だから、ネタをどんどん下さい。」
 いや、そう言われても…。
 ていうか、そんなに毎日、ネタになるようなことをされたら、こっちの生活が成り立たないと思う。
 
 
 とまあ、そんなわけで。
「動物」コーナーに、どんな作品が出ているのか、偵察も兼ねてのことだったわけ。
 私としては、まずは
(擬人化キャラは、「動物」に入れて良いのだろうか?)
という点が心配だったわけであるが、会場では見つけられなかったが、ガイドブック(ティアズマガジン)を読んだところ、「動物を擬人化したマンガを描いてます」とPRしている人もいたので、まあOKなのだろう。
 次に興味があったのは、どんな動物がネタになっているか、だったのだが。
 私は勝手に、半分近くは猫なのではないかと予想していた。
 理由は単純。少なくとも私の知り合いに限って言えば、マンガ好きな人や絵心のある人は、たいていみんな、猫好きだからである。
 が。
 予想を裏切って、猫本は、あまり目につかなかった。
 目立っていたのは、何と、「鳥」。
 次は犬であったが、それは想定の範囲内
 動物のコーナーは、グッズ販売も多いので、インコの小物なんかも大々的に売られていた。これが、なかなか可愛い。鳥も悪くないな、という気にはなった。
 
 
 それにしても。
 こうした場に、猫が少ないというのは、由々しき事態であると思う。
 猫は昔から、文人・才人・奇人(個性派)と絵描きに愛されることで、そのステータスを保ってきたのだ。
 猫文化を受け継ぐべき若い世代に猫が愛されないのは、猫帝国存亡の危機である。
 ここはひとつ、天竜さんに、猫復権のための一石を投じてもらい、猫好きオタクさんの輪を広げてもらうことが、明日の猫文化興隆への第一歩ではないかと思う。
 そのために、うちの猫どもがお役に立つなら、身に余る光栄というものである。
 
 
 が。
コミケと違って、コミティアは、あまり隣のブースの人と仲良くなったりしないですよ。」
とな。
コミケの場合、二次創作ですから、同じ作品が好きな人同士で盛り上がったりしますけど、コミティアは、それがありませんからね。」
 なるほど。
 それぞれ独自の世界観を持ってしまっている人々の集合体、ということか。
 お隣も猫本を売ってたりしたら、写真を見せ合ったりして、盛り上がれると思うんだけどなあ。
「でも、まあ、まずは抽選に通らないと。」
 そだね。
 というより。
 まずは作品を描かないとね、天竜さん。
 
 
 そして、ちゃんと、自分の本来の作品を出しなさいよ。
 猫文化興隆(交流)は、また別の機会に譲るとして。
 
 
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 今日は、うちの猫どもが登場する場面がなかったので、先日、出しそびれた写真を載せます。
 涼しくなってしまったので、気分は出ないと思いますが。
 写真は、16日に撮影したもの。お題は「真夏のミステリー」です。
 
 
 
 暑さでへばっているダメ。
 
 

 
 
 暑さで伸びているヨメ。
 
 


  
  
 それなのに、どうして…
 
 
 アンタたち、くっついているわけ?