歴史的驚愕

 昨夜、歴史的な事件が勃発。
 何と!!
 玉音ちゃんが受動的に、私に触られたのだ!!
 何という驚愕!!!
 
 

 
 
 そうか…。
 では、説明しよう。
 玉音ちゃんは、自分が撫でてほしいときは、能動的に私に寄って来る。
 それ以外の時は、私から逃げる。
 たいへんメリハリのある猫なのである。
 であるから。
 私の方が一方的に撫でたくなっても、そこにスキンシップは決して成立しない。彼女が撫でられたくなるのを待たなければならないのである。
 
 
 それが――。
 
 
 昨夜遅く。 
 私が風呂から上がった時、リビングに置いたケージの中、棚板の上のクッションで寝ていた玉音ちゃん。
「たーまねちゃん。」
 呼びかけても、顔を上げただけで、それ以上動かなかった。
 
 
 近寄ってみた。
 私を見たが、逃げなかった。
 
 
 そこで、手を伸ばして、脇腹の辺りを撫でてみた。
 すると。
 玉音ちゃんはそのまま、おとなしく撫でられているではないか。
 あまつさえ、気持ち良さそうな表情さえ浮かべているのである。
 
 
 こ、こ、これは。
 まるで、普通の飼い猫の反応じゃないか!!
 
 
 どどどどどどどうしたんだ、玉音ちゃん。
 か、か、体の具合でも悪いのか?
 いや、お腹が禿げているのは知っているけど。
 
 

 
 
 そう。生えているらしい。あまりお腹を見せてくれないので、肉眼で見える部分からの推測であるが。
 見たところ、痒がっているわけでもないし、過剰グルーミングとも思えない。
 結局何だか分からないけど、本猫は元気だから良しとしよう。
 
 
 いや。
 この彼女らしからぬ反応を見てしまった以上、ハゲ問題も、もう少し真剣に考えなければならないのかもしれない。